「やっぱり…、病院でも、私…。陽織に…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.195

ドキドキ そして熊沢、真輝を見て、
「真輝君。勝巳君。君が柚香さんと一緒にいたんです。」

瞬間、真輝、目をパチクリと、
「えっ…???…僕が…???」
思わず真輝、目をキョロキョロと…。

熊沢、真輝を見てゆっくりと頷いて、
「えぇ…。」

柚香も顔を傾げて目をパチクリと…。…けれども…。
「あっ。あ~~~。あの時。うんうんうん。思い出した、思い出した。朝、真輝君を見つけて、私、おはようの挨拶。」

真輝、今度は柚香を見て、
「えっ…???…そうだっけ…???」

「うんうんうん。そうそう。…で、私が天文学の本、真輝君に見せて。…あの時…。…そぅ。確か、看護婦さんが来て。…うんうんうん。思い出した。…はは。私、あの時、看護婦さん、何言ってるのって…思ったんだ。覚えてる、覚えてる。私に向かって、柚香さん…だよねって。…私、はっ…???…ってなって。」

熊沢、クスクスと笑いながら、
「そうです。そうです。つまりは、陽織さんが柚香さんに戻っていた。ただ、私もこれは、聞いた話ではあるんです。…でも…。その日を限りに、病院では、それ以降、柚香さん。」

柚香を見て、
「結局、退院まで、陽織さんに変わる事は…なかった。」

柚香、ゆっくりと頷いて、
「そう…だったんだ~~。」
そして柚香、
「じゃあ~~。やっぱり…、病院でも、私…。陽織に…。」
けれども顔を傾げて…。
「でも…、おばあちゃんは…。…何も、なかったよって…。」

熊沢、
「多分、おばあちゃん…。心配、掛けたく…、なかったんでしょう。こういう事は…、起きて欲しくないと…。…本当の事は…、言えなかったんでしょう。」
柚香と真輝、熊沢を見ながら…。
「…現に、おばあちゃんから、私にも、今日、朝、電話がありました。私の方から昼前におばあちゃんに電話して。お話しましたが…。…柚香さんには、本当の事を伝えるべきだと、言う事を…。」

柚香、
「おばあちゃん。」

「柚香さん。おばあちゃんの気持ちも、汲み取ってあげてください。…別に、悪気があって、柚香さんには言わなかったわけでは…。…多分、この事は、おばあちゃん…、ずっとこのまま、心の隅に…、忘れられない事に…、なるはずですから…。」

その話に柚香、
「あ。…はい。」

「とにかく。この病気は…。…治るとか…、治らないとか…。…確かに…。薬で何とか…。…けれども…、これは、あくまで、本人の意識の問題。…いつの間にか、症状がなくなる…場合もあると思います。…何かの切っ掛けで…。」

柚香、真輝、熊沢を見て…。

「もしかしたら…。その日を待つ以外に…手立ては…。…実は…、私もいろいろと調べては…いるんですけど…。中々…。」

瞬間、柚香、
「あっ。」
そして真輝を見て。

真輝も柚香を見て。

柚香、
「それなんですけど…。」

すぐさま熊沢、
「うん…???」

柚香、
「実は…。ここ、数週間、何度か、私、陽織になっていたんです。」

いきなり熊沢、目をパチクリと。
「おや…。」

「そして…、陽織、私に変わっていた時に、ある人と、偶然にも、会っているんです。」

熊沢、両眉の先を僅かに吊り上げて、
「ある人…。」

「はい。精神科医です。」

「おやおやおや。これは、これは…。どういう経緯で…???」
熊沢、不思議がりながら。

柚香、熊沢に、今までの経緯を話す。

そして、柚香の話に…。

真輝も柚香を見ながら、
「うんうんうん。」

熊沢、
「…夜中に起きて自宅を出る。…で、深夜の道を…。そして…飲み屋に…。」
熊沢、柚香の話を聞きながら頷いて、
「陽織さんが…、ビールを…。…で…。柚香さんはお酒を飲めない。」

柚香、
「…で、結局は、朝起きると頭が痛い。」

「なるほど~~。」
熊沢、何度も何度も頷いて、
「いや。これは、私も驚きです。」

「そして…。昨夜…なんですけど…。」

真輝も熊沢を見て頷いて。

熊沢、
「昨夜…。」
柚香の話を聞きながら真輝を見る。

真輝もそんな熊沢に頷く。
「はい。僕がその店に行った時には、既に…。その先生に支えられた状態で…。」

熊沢、大きく息を吸って、そして吐いて、
「精神科医の…、藪岡…海路先生。…その先生も…、既に柚香さんの解離性同一性障害…、を…。」

柚香、
「えぇ。」
そして、
「あ。…でも…。その精神科医の先生に会うまでには、また違う人とも会っているんです。」

熊沢、
「うんうんうん。なるほど…。」
顎に右手を…。そして頷いて、
「そうですか~~。」
一呼吸置いて。
「でも…。いい事です。そんな風にして、いろいろな人と出会って…。そして、いろいろな事を経験して…。まっ。確かに、陽織さんになってしまっては…。柚香さんの意識は、なくなる訳ですけど…。」

その話に柚香、コクリと、
「えぇ…。」
そして柚香、熊沢を見て、
「全く…。その時の事は…。覚えてないんです。」








LIBRA~リブラ~   vol,081.  「やっぱり…、病院でも、私…。陽織に…。」

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