「課長にはおまえの電話番号とライン。教えておいたから。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.134.

ドキドキ そして、その日のお昼休み。
珍しく葉子と秀美のふたりだけのテーブル。
その葉子のスマホに、今度は虎一郎から着電。

葉子、
「ふん、私~~。」

スマホの向こう、
「おぅ、お疲れ~~。今日、おま、秀美ちゃんのとこ、大丈夫かぁ~~。何だか、輪湖が風邪でダウンって…。」

その声に葉子、
「ふん。まぁ…、何とかなるでしょ。」

「俺も一緒にいくつもりだったけど…。これから、宮城まで…。研修でさ。」
「仕方がないよ。前々から決まってた事だから。…まぁ…、秀美ちゃんのおかあさんの場合は、その日じゃないと多分…。」

その声にスマホから虎一郎、
「だろうな~~。駄目なものは駄目~~って。」

葉子も、
「…でしょうね~~。」
 

「あっ。葉子~~。」

虎一郎。

 

「ふん。」
「念のため。課長にはおまえの電話番号とライン。教えておいたから。」

その声に葉子、
「はっ…???…へっ…???…うそ…。」

「…で、課長も秀美ちゃんの事、任せろって言ってるからさ。…ひとりよりふたり…、なんだろ…???」

虎一郎の声に葉子、
「まぁ…。そりゃあね。」
遠くからクラクションの音と交差点の電子音。葉子、
「今、何処にいんの…???」

虎一郎、
「あ~~。今、東京駅の前。これから新幹線。」

葉子、
「あ~~、うん。」

歩きながら虎一郎、
「じゃあな。健闘を祈る。」

「健闘って…。戦いに行くんじゃないんだから…。」
「はは。んじゃ、切るわ。」

「うん。行ってらっしゃい。」

そして通話は切れる。葉子、
「ふぅ~~。」

秀美、
「葉子先輩。…今の…、コイチさん…???」

「あ~~ん。うん。コイチ、今日、これから宮城入り。研修。前々から決まってたらしいから…。」

秀美、葉子の顔に、
「ふ~~ん。」

葉子、
「さて。…と、言う事は~~。」

それから5分後、葉子のスマホにライン。しっかりと海江田の文字。
そして、アイコンは…。

葉子、頭を傾げて…。
「…誰…???…この太ったおばさん…???」

秀美、ご飯を食べながら、
「ふん…???」

葉子、
「ほら…。」

そして秀美もそのアイコンを見て、
「はっ…???」

海江田からのライン、
「海江田です。お疲れ様。今、電話します。」

すぐさま、見知らぬ電話番号。

「もしもし。選です。」

スマホからの声。
「おつかれ~~。海江田です。ライン、送ったけど…。」

「えぇ。はい。届いてます。…けど~~。」

海江田、目の前の匡子を見て、
「…けど…???」

匡子、頭を傾げて、
「ふん…???」

葉子、
「誰なんですか、この…、アイコンの太ったおばさんみたいな…。」

瞬間、獏、ニッコリと、
「あ~~それ。ソフィ・クリフォード。ソフィって言って、僕のロンドン時代の家政婦なんだ。」

その声に匡子、ニッコリと。

獏、
「まっ。ロンドンでの僕のおばあちゃん代わり。」

その声に葉子、目を真ん丸にして、
「へぇ~~。家政婦~~。」

秀美も、
「家政婦。あっ。な~~るほど~~。ロンドンでの~~。」

葉子、スマホに、
「あっ。課長、今…。」

獏、
「あ~~。匡子さんの店で、昼飯食ってる。」

葉子、ふと、
「松樹さんって、あれから…???…お店…。」

獏、匡子に、
「松樹さんって、あれから…、来た…???」

その声に匡子、首を振る。
「だ~~って~。あんた、いっぱしの女性だよ~~。しかも、神戸には子供もいるんだし~~。当然。自炊に決まってんでしょう~~。」

獏はスマホを匡子に近づけて。そして、
「道理。聞こえた~~???」

葉子、口をへの字にして、
「確かに。主婦でも、あると。」

スマホから海江田の声。
「仕事、終わったら教えて。合流するから。秀美ちゃん。」

その声に葉子、
「あっ。はい。分かりました。」

「あっと~~。」
海江田、
「それから…、館城さん。輪湖さん。風邪、どうなの…???…コイッちゃんから聞いたけど…。」

「あ、うん。多分…、完璧に、寝てると思うんだけど…。40度の熱だと…。明日もまだ…、ヤバいかと…。明日は輪湖のアパート、行くつもりなんですけど…。」

海江田、その声に、
「ふん。そっか~~。」

匡子、
「輪湖が風邪って、珍しいね~~。」

海江田、
「とにかく。大事に、だね~~。」

葉子、僅かにペコリと、
「はい。」

そして通話は切れる。

葉子、ラインのアイコンを見て、
「ふ~~ん。家政婦のおばさんか~~。ふんふんふん。ロンドンで…。やっぱり…、身の周り…。…だ~~ねぇ~。」

そして、弁当を食べ終えて、ふたり共に、
「ご馳走様でした。」

葉子、秀美に、
「行こう。」
「はい。」





部署に戻って…。

すると…。何やら騒がしい。

蔵井氏が自分の席で…。そして美神が蔵井氏に、
「全然、分かりません。何がどう…???何処でどう…???」

葉子と秀美、目をパチクリと…。

そこに、励子と尚子、ふたりも部署内の慌て振りに、
「何…???どうしたの…???」

陣屋も慌てて部署に。
「何…???…どういう事…???」






こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,183.   「課長にはおまえの電話番号とライン。教えておいたから。」

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