「俺の気持ちは…ってぇ~~と、しっかりと…、蚊帳の外…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.173.

ドキドキ そして匡子、
「でぇ~~。どうすんの、彼女…???」
テーブルにデンと両手を付けての匡子。

そんな匡子に獏、
「ふん。全く、容赦ししないって感じですね~~。」

「いや。そりゃそうでしょう~~。何たって、私の大切な常連様~~。」
「俺の気持ちは…ってぇ~~と、しっかりと…、蚊帳の外…。…なぁ~~訳だ。」

その、「蚊帳の外」と言う言葉に匡子は、思わず口を尖らせて、
「いやっ。…そういう…訳じゃ~~。ないけどね~~。だ~~って、いっつも来てくれてる人たちだからさ~~。な~~んか、こう…。情ってモン、ある訳よね~~。友達、みたいな…。そんな…。なんでも話し合えるって…。」
そして匡子、
「まっ。私だってぇ、女友達はいるよ。店が休みの時は、一緒にランチなんてしてるけど…。」

獏、口をへの字にして、
「ふん。」

「でもさぁ~~。あの、彼女たちって言うのは、そういう…、女友達って言うのじゃ、全然ないんだよね~~。まっ。私の女友達って言ったら、当然、ママ友になっちゃうけど…。」

「まぁね~~。でしょうね~~。」
料理を一口。
「うんうんうん。」

「私とは、10も下のヨウちゃん。…でもって、秀美ちゃんは大学卒。とにかく、可愛いのよ~~。だから…。良い人がいたら~~。」

そんな匡子に下から見上げるように、そして自分に右人差し指を、
「僕。良い人。」
口を尖らせて。

そんな獏に匡子、
「にぃ~~。」
そしてニッコリと、
「なっちゃう訳よ~~~。しっしっしっ。」

「た~~く、もぅ~~。完全に、俺の気持ちは脇に置いといてって、やつだもんな~~。」
そして、佐武郎を見て、
「ねぇ~~。サブちゃ~~ん。」

いきなり自分に振られて佐武郎、思わず困ったような顔で。

その声に匡子、残念そうな顔で、
「あ、あ~~~。うん~~~。」
そして佐武郎を見て…。

そんな佐武郎、食器を磨いている。

獏、ふたりを見て、
「へっ…???…何な…、どしたの…???…匡姉ぇ、サブちゃん…???」

匡子、佐武郎を見て、そして獏を見て、残念そうな顔で…、
「ふん。ちょっとね~~。」

また獏、
「へっ…???」

匡子、また佐武郎を見て、
「ねっ。サブちゃん。また、良い出会い…、あるよ~~。私が保証する。うん。」

その言葉に獏、顔を傾げて、
「はい…???」

匡子、心配そうな顔で…。
「実はね~~。」

「ふん。」
匡子を見て、佐武郎を見て…。

「サブちゃん、秀美ちゃんの事…。」
匡子、そして口パクで口を窄めて、次に口を真横に歯を見せて、
「……。」

瞬間、獏、目をパチクリと、
「う…、うそ…。そうなの…???」

匡子、しっかりと頭をコクリと。

獏、
「わ~~お。」

佐武郎は拭いた皿を仕舞いながら…。

獏、口をポカ~~ンと開けて…。そして、
「え~~~。サブちゃん、秀美ちゃんを…。」
右手で頭を掻きながら…。
「そっか~~~。そうだったんだ~~。」

匡子、
「…で~~。それでも…。秀美ちゃんは~~。あんたの事。」

獏、また口を開けて、今度は閉めて、
「ふ~~~ん。…やれやれ…。」

匡子はまだ佐武郎の事を…。けれども…。
そして匡子、佐武郎の背中から右腕を回して、佐武郎を片腕で抱くような感じで、
「大丈夫だよ~~。サブちゃ~~ん。私が着いてるから~~。ははは。」
そして、佐武郎の頭を撫でながら…。

獏、そんな佐武郎を見ながら腕組みをして…。
「ふん。サブちゃん…。何とか…、なんないかな~~。誰か…。物凄い料理…、上手だし~~。ねぇ~~。こんな料理上手、滅多にいないよ~~。俺も保証する~~。」

匡子も、今度は佐武郎の傍で、
「うんうんうん。でしょう~~。私が見染めたんだもん。絶対に、サブちゃんにも…。」
そして泣きそうな顔で、
「しあわせになってもらいたいじゃな~~い~~。」

そこで獏、
「あっ。ねね、サブちゃんってさ、出身、何処なの…???…俺は…、子供の頃は、まっ、匡姉ぇと同じ、宮崎だけど…。…で、東京来て、ロンドンが…一番、長かったけど…。サブちゃんは…???」

ここでようやく佐武郎、口を…。
「高知です。」

匡子、ニッコリとして、
「うん。」

佐武郎、また、
「高知、土佐です。」

獏、
「わお。高知、土佐。」
そして目をキョロキョロと、
「…って事は~~。坂本龍馬…、好きだったりして…。」

獏の声に佐武郎、思わずニッコリと。頭をコクリ。

獏、
「あは。」

匡子も佐武郎を見てニッコリと、
「な~~んだよね~~。坂本龍馬が、好きなんだわ。サブちゃん。渋いね~~。…でぇ~~。ふたり目がぁ~~。」
そして獏を見て、
「獏~~。誰か…分かる…???」

いきなり獏、右手を振って、
「いやいやいや。全然、分かんないけど…。」

匡子、口を真一文字に、そして腕組みをして、
「これもまた…、渋いんだよね~~。」
ドヤ顔で…。






こんな私です。~選葉子(すぐりようこ)~   vol,167.   「俺の気持ちは…ってぇ~~と、しっかりと…、蚊帳の外…。」

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