その時、スマホだけが左手から机の上に落ちて…。カタン。
将輝、
「おっと。」
すると、持っていた紙をヒョイと。馨である。将輝に、
「なんだこれ…???」
将輝、顔を左上に、
「あ、あ~~。朝、下駄箱に入ってた。」
その声に馨、
「へっ…???下駄箱って…???…これ…???」
「あぁ。」
全くその手紙のようなものには興味がないように机の上のスマホを将輝。
馨、
「ふ~~ん。」
そして手紙の内容を…。
「お話したいことがあります。放課後、部活が終わったら、図書室で待ってます。絶対に来てください。お願いします。って…。おぃ。」
将輝に。そして、一番下に書いてある文字、
「篠崎柚花(しのざきゆか)。…って、誰だ…???」
その声に将輝、動画を見ながら、
「知らねえ。」
「…って言うか、将輝、おぃ。これって…???おまえ、図書室に来いって書いてあっけど…???」
オウム返しのように将輝、
「行かねぇよ。面倒臭せぇ。」
馨、
「ふ~~ん。」
そして部活終了。
2階で部活を見ていた柚花と智花と和咲。
「うん。じゃ図書室、行ってくる。」
柚花。
智花と和咲は、
「うん。私たちは教室で待ってるね。」
「分かった。」
ニコニコとしながら柚花、図書室に。
誰もいない図書室。ゆっくりと本棚を見ながら歩きながら…。
そして5分後には適当な書籍を手に取って、椅子に座ってペラペラとページを捲りながら…。
時計の針はあれから15分。柚花、右左見て、そして図書室の入り口の方を見て、
「まだ、後片付け、終わんない…か。」
それからまた15分。静まり返っているだけの図書室。僅かに溜息の柚花。
それから5分程してドアが開く音。柚花、ビクン。
そして足音。入口の方を見て…。途端に柚花、いきなり頭を垂れて。
「先生…。」
目の前に現れた人物。書籍に目を落としながら…。
そして声に反応するかのように、顔を上げて…。
目をパチクリとさせて、
「ふん…???…あなたは…、確か…。」
柚花、目の前の教師にチョコンと頭を、
「3年A組の…、篠崎柚花です。」
「あ~~。はいはい。そぅそぅ。篠崎さん。」
柚花、頭の中で、
「…やっば~~。なんでここに、化学の保志野季代美(ほしのきよみ)が来る~~。お喋りだぞ~~、この先生~~…。」
眼鏡を掛けた、少し中太りの…、けれども身長は165。保志野、
「どしたの~~???…こんな時間…???…部活も終わって、生徒たち、みんな…帰ったんじゃ…。」
慌てて柚花、
「あっ、あ~~~。はい、すみません。」
急いで椅子から立ち上がり、持った本を元に戻し、保志野にお辞儀を、
「帰りま~~す。」
そして廊下に…。
「やっば~~~。」
柚花、廊下を小走りに。そして体育館に。
「へっ…???へっ…???」
あちらこちらを見回すが、人の姿が見当たらない。
「うそ…。うそうそうそ。」
すぐさま柚花、ラインで文字打ち。
教室で待っていた智花のスマホに。
「おっと来た~~。へへへへへ~~。どうな…???…はっ…???」
和咲、
「なになに…???」
智花、
「菅田君、帰っちゃった~~~。え゛~~~~え…???」
和咲も、
「はっ…???」
瞬間、智花と和咲、がっくりと肩を落として、
「うそでしょ。」
そして5分後。学校の昇降口。
智花、柚花にバッグを渡して。和咲はマフラーと上着。
柚花、
「ありがとう…。」
智花、
「なんともな~~。」
和咲、
「やられたか…。」
柚花、つまらなそうに口を尖らせて…、
「う~~~ん。」
そして玄関を出て数歩歩き…。ガックリとしている柚花。
いきなり体をバンと。
「もぅっ!!!」
瞬間、智花と和咲、ギョッとして、
「おっと~~。びっくりした~~。」
翌日、朝。3年A組、教室。
涼香、いきなり、
「え゛――――――っ!!!」
その声に周りの生徒たち、涼香に振り向く。
智花、
「だから涼香、声、おっきぃって。」
涼香、困った笑顔で、
「…ご、ごめん。…てか…、うっそぉ~~~。え゛~~~ぇ…???そこまでするぅ~~~???…あのさ、私、言ったよね…。菅田将輝には、近づくなって。泣きを見るよって。」
「…んな事、言ったって~~。」
口を尖らせて駄々っ子のようになっている柚花。
そんな柚花を見て涼香、思いっきり頭をダラリとさせて、左手で頭を掻きながら、
「あのっさ、柚花~~。」
ぷ~~たれている柚花。
涼香、
「なんで、あんた、そこまで菅田将輝~~???」
そして涼香、左手をバンと机の上に。
「訳分かんないんだけど、私~~。」
信じて…良かった。 vol.172. 「図書室で待ってます。絶対に来てください。」
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庄司紗千 きっと大丈夫
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