その後、蒼介は検察庁へと。そして和奏は法律事務所へ。
そこでふたりともに、同僚の事務官、そして検察官。同じパラリーガル、弁護士から…。
「現実的には…、うん。分かる。けれども、一番は理沙さんの意見。大人には理解できるが、それが子供も同じ。…と、言う事は必ずしも、ない。」
瑞樹家のリビング、最初は将輝に理沙。馨に麻理絵が教えていたが、
教科毎に交代して将輝には麻理絵、馨には理沙。
そして次第に将輝も馨も、顔が湿り気味に…。
麻理絵、
「はい次~~。これ。」
理沙も、
「はい、英語、ここから…。」
馨、
「分かった。」
そして、1時間。
将輝、馨も、
「うぇ~~~。」
理沙、
「ふん。まずは、今日は~~。…って言うかさ~~。」
杏美、
「あんたら、授業中、何やってんの~~???」
その声に将輝も馨も、顔を見合わせて、
「いや…、何やってるって…言われても…。なぁ…。」
麻理絵、
「先生にバレないように、寝てるか、何か他の事…。…でなかったら、ノートにこれだけって事はないでしょう~~。」
確かに、ふたりのノートには、教師が黒板に書いたもののみ。
杏美、
「私だって、これ見ても、さっぱり…。何がなんだか全然分かんないわ。」
その時杏美、
「おっと、ヤバイ。こんな時間。」
腕時計を見て、夕方の6時。
麻理絵、
「あっ、私も帰んなきゃ。おばさんたち、帰ってくるよね。」
理沙、
「あ~~。うん。」
馨、
「おし。じゃ、俺たちも、将輝。」
将輝も、
「あ~~、うん。」
理沙、
「あっと~~。それから、将輝君も馨君も。家で少しでも復習ね~。私だって、ご飯食べて、それから机向かってんだから~~。」
馨、
「うん。分かった。」
麻理絵、
「試合…、出れなくなっても知らないよ~~。」
そして4人、共に玄関に…。
杏美、
「あっ、理沙はここでいいよ~~。」
理沙、
「うん。ありがと。」
そして麻理絵、引き戸を開けた…。
ガラリと、
「あっ。と~~。かかか、みんな…、いたんだ~~。」
ニッコリと和奏。
麻理絵、ニッコリと、
「こんにちは~~。今、帰るところです~~。」
「かかかか。」
その瞬間、和奏、
「えっ…???」
馨を見て、顔をにやけて和奏、
「か、馨君も~~???うそ~~。はははは。」
杏美、
「追加注文と言う事で。」
可笑しがりながら和奏、
「はぁ~~ぁあ~。追加注文って…。かかかか。馨君にも家庭教師に…???」
馨、頭を撫でて、
「すんません。」
「いやいやいや。私に謝られても困るけど…。かかかか。そっか~~。うん。試合に出られなくなっちゃうもんね~~。うん。頑張って。」
麻理絵、杏美に、
「じゃ、アズ。」
「うん。お邪魔しました~~。」
馨と将輝も、
「お邪魔しました~~。」
馨、理沙に、
「んじゃ、明日、部活で。」
理沙、
「うん。」
和奏はキッチンに。理沙はテーブルに。
和奏、蛇口を開けて手を洗いながら、
「はは、ふたりとも、どうだったの…???」
その声に理沙、
「いやいやいや。良くぞ、あれで高2になれました~~。」
和奏、
「え゛~~~???」
「完璧に、答えの丸暗記。」
「お~~、お~~、お~~。」
「まっ、でも、あれで高2になったんだ。逆に言えば、とにかく、勘は、いいんだ。この問題は出るって言うのが、ふたり共に、分かるみたいなんだよね~~。」
和奏、理沙の話に、
「へぇ~~。」
「スポーツだって、ある意味、勘やコツって…あるもんね~~。」
「ふ~~ん、そうなんだ~~。」
そして和奏、
「かかかか。おかあさんは今まで、あんまりスポーツはやって来なかったから…。」
理沙、教科書とノート、筆記用具をまとめてお腹に右手で抱えながら、
「さて…と。」
左手でハンドルリムを回しながら部屋に向かう理沙。
そんな理沙の後ろ姿を見ながら和奏、
「……。」
途中まで杏美と麻理絵と一緒に自転車を引きながら歩いていた将輝と馨。
最後の麻理絵とも別れて…。
麻理絵、
「じゃね~~。明日、理沙、よろしく~~。」
将輝、
「あぁ。」
馨、
「分かった。」
麻理絵が遠くなる。
将輝と馨、ヘルメットを被りながら…。
馨、
「どうだった…???」
将輝、
「あぁ~~。何とか、少しは頭に入った。はは。」
「だよな~~。」
夜9時半。和奏、理沙の部屋に、
「理沙~~。」
理沙、
「ん~~???」
そして和奏、2階の栞奈にも、
「お姉ぇ~~。」
信じて…良かった。 vol.132. 「とにかく、勘は、いいんだ。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。