「責任能力は…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.150.

ドキドキ 「えぇ…。鹿児島の販売会社を徹底的に調べました。…で、辿り着いたのが、ある中古車センター。…そして、購入した人物も特定。けれども…、その人物から話を訊くと…。」
久我、目の前の吉武を見て、
「本人には全く心当たりはないという。…なんだが…、話をするにつれて…。事故当時の事を…。自分は運転していないんだが、妻が…、と言う話になり。しかも、車を板金塗装に依頼したという。」

蒼介、頭を下げながらも腕組みをして…、
「…けれども、その事を…、こちらの奥さんに聞いても…。」

久我、
「えぇ…。何も言葉は出て来なかったと…。」


久我の話も10数分。その時間にも女性は全くの無表情。
ただ顔を右左に。焦点の付かない目のままに。


蒼介、
「まじかぁ〜〜。」

久我、
「今、こちらの奥さんの状態では、過去の記憶すらも…、満足には…。」

「うつ病…。鬱の状態って…、こんなにも…。」
「えぇ…。まっ、我々の知っているうつ病と言うのは…。けれども、まさか、記憶障害にも…。」

蒼介、ぎっしりと唇を絞ったままで…。そして、
「まさか…、こちらの奥さん、自分の子供の事までも…。」

久我、目の前の吉武の顔を見て…。

けれども吉武、蒼白な顔のままで首を横に…。
「誰に対しても…、全くの無表情で…。私の両親も困り果てて…。子供達が可哀想と…。」

久我、
「生活自体は…、食べて、眠って、歩いては…。普段通りに…。けれども、その他は全く…。」

蒼介、下を向いて、
「責任能力は…。」

その声に久我、渋い顔で…、
「残念ながら…。」
そして、
「まっ、それでも、起こしてしまった事は事実ですから、とにかく瑞樹さんの方にも謝罪したいとの…、吉武さんの…。それに、瑞樹さんの娘さんの事も話してあるので…。」
「理沙の事…。」

「えぇ。娘さんの事、捜査上、話すべきことではない事は重々…。そういう意味では瑞樹さんには大変申し訳なく。けれども、事が事で…。」
久我、蒼介に申し訳なさそうに頭を下げて。
「娘さん…、下半身不随になった事も…。取返しの付かない事をしてしまったと…。…まぁ、自分の奥さんも、今この状態。この状態が改善されると言う事は今後…。…専門医師からも、判断は極めて難しいとの見解で…。」

蒼介の頭に薄っすらと浮かんだ言葉が…。そして、
「そうですか~~。」
そして蒼介、
「とにかく、一度家に持ち帰って、妻ともよく相談した上で…。」

久我、
「分かりました。」




そして、警察を後にする蒼介、
「参った~~。」





その頃瑞樹家では…。和奏と理沙、3人を見送りながら…。

和奏、
「へぇ~~え~~。んじゃ、これからは将輝君、教科書なんかも…。」

杏美、
「当然、そうなっちゃうよね~~。」

その声に将輝、一気に顔を赤くして頭を撫でながら、コクリと。

「やれやれ~~。そんなに頭、悪いって感じ、受けないんだけどな~~。」
口を尖らせて杏美。

その声に和奏、
「まぁ~~。アズちゃんったら~~。」

理沙も麻理絵も、可笑しがりながら、
「かかかかか。」

そして杏美と麻理絵、理沙に、
「じゃね~~。」

将輝は自転車のロックを解除して、和奏に、
「お邪魔しました。」

和奏、
「うん、じゃね。」

理沙は、口を尖らせて、
「うん。」

杏美、
「行こか。」


3人が離れていく。



そして将輝、また双葉の表札まで近づいて、顔を…。

そんな将輝を見て麻理絵、
「どうしたの~~???」

杏美、
「あぁ~。マリ~には話してなかったね~~。ここ、私と理沙の中学の同級生の家。もぅ死んじゃったけど。何と、その子、将輝君の元カノ~~。」

瞬間、麻理絵、
「え―――――――っ!!!うそ~~。そうなの…???」

将輝、
「う…、うん。」

杏美、
「まっ、でも、今は理沙がいるから。」
そう言って将輝の背中をバン。

その声に麻理絵も、
「かかかかかか。」

将輝、顔をぐんにゃりとさせながら、
「ちげぇ~し。」




和奏と理沙、リビングに…。

理沙、
「おかあさん、おとうさんは~~???」

「あ~~。仕事の都合でちょっと出掛けた~~。」
「ふ~~ん。」

和奏、
「…けど、おかあさんも…、将輝君、そんな…、成績悪いなんて、感じられないんだけど…。だって、スポーツ万能なんでしょ。あんなにバスケ上手なのに~~。」

その声に理沙、
「まぁ~~。そういうのって…、どうかな~~って場合もあるよね~~。」

「あら。」

「とにかく。あのバカ。」
顔をぶすっとさせての理沙。

和奏、
「おやおや。」






信じて…良かった。   vol.128.   「責任能力は…。」

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