「おまえらの負けず嫌いが、根性と執念、集中力を産むんだって。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.130.

ドキドキ 一樹、腕組みして、
「ふぅ~~。」
一度、頭を項垂れて…。そして、理沙の顔を見て。
「瑞樹…、おま…、もぅ…なんとか…。」
そこまで言って、今度は頭を撫でて…。
「かかかか。そんなに…なぁ…。」

杏美、一樹を見て、
「先生…。」

一樹、壁を見て、
「…下半身…、不随…って…。」

杏美、急に、目頭が熱くなり…。

一樹、
「歩けない…、立てない…。」
そして、口の中のものを飲み込んで…。掛布団の上に右握り拳を…。
「クソッ。なんてこった。」

杏美、思わず頬に零れた涙を拭って、グスリとしながら…。
「先生…、はぁ…。んん…。今、理沙の代わりのアタッカー…、何とか育てようって…。専念してる。」
一度、鼻水も啜って…。
「何とか…データー戦略に匹敵する…チーム力って…。」
そして杏美、
「かかか。中々…、大変だけど…。」

そんな杏美にボソリと一樹、
「それだけ…、おまえらが…1年の時から抜きん出てたって事だろうが~~。」


そうなのだ。元々、理沙と杏美は、中学時代、剣道部に所属していた。
当然剣道部のある高校の受験をふたり共に受けたのだが、
その高校の偏差値が高く、合格は微妙だった。
万が一の場合と言う事で。理沙も杏美も、家族との相談の結果、
剣道部がなくとも、他のスポーツ系の部活に入部しても止む無し、と言う事で…。
それが名城高校だったのである。

そして…、結果的には…、名城高校のみが…合格。
そして入学して部活を選んでいたところ。
学校でも人気の教師がバレー部の顧問。入部者も多い。
…との事で…、入部したのが…、一樹が顧問をしているバレー部だったのである。
確かに人気のある部活ではあったが、それと同様に練習もきつい。
当時、20数名の入部者がありながらも、わずか2週間足らずで、過半数が辞めて。
3週間目には…。残っているのは僅かに3名だった。
その3人が、瑞樹理沙。そして水森杏美。矢部雅美(やべまさみ)、現セッターである。

そして…今…、その3人の中から…、理沙が…抜けてしまったのである。

「高2。これからもっと、もっと、強くなれるおまえらが…。ここにきて…、瑞樹が離脱。」

杏美、一樹に振り向いて、
「ふふ、いっき、言ってたもんね。おまえらの負けず嫌いが、根性と執念、集中力を産むんだって。」


その実、理沙も杏美も、中学から続けていた剣道での負けず嫌いは半端なものではなかった。
その理沙と杏美の性格に自分もこういう性格と一緒にやってみたい。と思ったのが雅美である。
僅かに理沙と杏美の身長には及ばないが、成績優秀、
それでいて運動神経も良ければ体も柔らかく俊敏性ある。
どんな状況でも俊敏に対処できる素質を持っていた。


一樹、
「これからって…ときに…。」
そう言って一樹、目を右左に…。
「あっ、すまん。つい…。」
そして、
「かかかか。瑞樹の見舞いに来たのに、俺が、マイナーになっちまっては…。」
首を回して一樹、
「ん~~。瑞樹~~。」

理沙、
「はい。」

一樹、唇を絞って、そして下を向いて…、
「…けど、瑞樹、おまえも…これから…、なんだよな。」

理沙、杏美、
「先生…。」

一樹、
「先生も…、これからのおまえを…、応援する。…当然、このまんまじゃすまない瑞樹だからな。」

その声に理沙、僅かに目が潤み…。そしてニコリとして、
「うん。」

杏美も、
「頑張んなきゃ。」
そして、
「いつまでも…ベッドの中じゃ、つまんないよ。…私が言うのも…、なんだけどさ…。」

一樹、
「先生たちも…、物凄い、心配している。…おまえのお父さんから、電話もらった時には…。職員室中、静まり返った。…すすり泣く先生もいたし。…それに…。小宮山先生なんて…。泣き崩れてた。」

理沙、
「小宮山先生…。」

「隣のクラスの担任。まっ、当然と言っちゃあ、当然かも…、知れないけど…。」
一樹、続ける。
「だから…、瑞樹がそんな状態だったら、尚更、そんな…簡単には、見舞いに来れなかった。…んだ。」

そして、
「まっ、校長先生からも…。今は、そっとしておいてあげましょう。一番辛いのは本人だから…。」

理沙、
「校長先生…。」

校長の坂崎、名城高校の校長に赴任して以来、
部活での生徒たちの試合には、可能な限り足を運ぶ、そんな校長である。








信じて…良かった。   vol.020.   「おまえらの負けず嫌いが、根性と執念、集中力を産むんだって。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


《PR》
庄司紗千 きっと大丈夫

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。

アメーバ