将輝、
「あいつ…、瑞樹…さん…。学校…、部活…。」
その声に夏希、
「ん~~。看護婦さんからは…、なんとも言えない。ごめんね~~。」
「…でも、あいつ…、瑞樹さん。自分の口で、歩けなくなった。全然、感覚…、ないって。」
「うん。そうだね。…でも、こう考えてみたらどうかしら…。理沙さん、今、とにかく…ショックで、ご飯も食べたくないほど…。…でも。将輝君と麗亜ちゃんの顔見て、そして話しを聞いて、ひとつ、一歩前進したと思うんだ。その気持ち、大切にしよう。」
そして夏希、
「だから、先生たちも。私たち看護婦も、一生懸命、理沙さん、見守っていく。ねっ。」
その声に将輝、納得出来たのか出来なかったのか…。
それでも、看護師には、
「あ、はい。分かりました。」
麗亜の病室まで…。
夏希、
「じゃね、将輝君、麗亜ちゃん。ありがと。」
麗亜、ニッコリと、
「うん。」
そして夏希、ナースステーションに…。
他の看護師たち、
「師長…。」
夏希、コクリと首を。
「なんとか…。…これで、食べてくれれば。御の字。」
看護師たち、目を見開いて、
「わはっ。」
駒田も夏希から、その報告を受けて、
「とにかく…、結果だ。かかか、もしかしたら…、彼らにお礼か…。はははは。」
そして…。
夕方、看護師2年目の須美が理沙のテーブルのトレイの中の食器を見て…。
そしてニッコリと…。
ナースステーションに。
「うんうんうん。瑞樹さん…、半分は…、食べてくれた。はは。」
その声に他の看護師も、
「ナイス。」
「うんうん。」
「まっ、一週間…食べられてないからね~~。」
そして、その後病院に訪れた和奏にも、看護師たち、
「理沙さん、夕方の食事、半分。食べました。」
その声に和奏、
「えっ!!!ほんとですか。あ~~~。良かった~~。」
そして和奏、病室に入った途端、
「理~~沙~~。ありがとう~~。ご飯~~。」
そんな理沙、口を尖らせて、
「ふん。まね~~~。」
和奏、
「いいぞぉ~~~。」
「前に言ってた、菅田さん…。」
和奏、頷いて、
「あ~~、うんうん。看護婦さんから聞いた~~。病室、来てくれたんだって~~。」
「うん。麗亜ちゃんに会えて、嬉しくって…。…それに。お兄さんの将輝さんから、飯食わなかったら体、持たないぞって。言われて…。」
「そぅ~~。うんうんうん。ありがたいわ~~。あれだけ食べてたあなたが…。」
そうなのだ。理沙、部活で疲れては、その食欲は半端なかった。
少し瘦せ型ではあるのだが、その体の何処に入って行くのかと思うほどの食欲。
そして…、翌朝…。
理沙、見事に朝食を完食。
「ふぅ~~。ごちそうさま。」
そして、ひとり、ポツリと…、
「やっぱり…、食べなきゃ…ダメだな。ネガティブ、ネガティブに考えちゃう。かかか。麗亜ちゃんと将輝君に、感謝だわ。」
そして看護師たち、朝の理沙のトレイの食器の中を見て、思わずガッツポーズ。
駒田も、
「そうかぁ~~。食べてくれたか~~。」
この一週間、一樹や杏美他、誰が来てもネガティブだった理沙。
その上、もう、バレーもできない体になってしまった事実に…。
それでも、何故か、自分と同い年の異性から、怒られたような感じでもあり、
変に説得されたような感じでもあり…。そんな…変な感覚でも…。
不思議に…背中を押されたような…。そんな気分の中で…。
そんな理沙の病室に現れた一樹と杏美。
「おぅ。飯…食えたって看護師から聞いて。」
「うんうんうん。良かったよ~~。心配で。心配で~~。もぅ~~。理沙~~、痩せちゃってるんだも~~ん。」
そんな杏美に理沙、
「かかかか。ゴメン。ゴメン。私も…、完全に参ってたから…。」
一樹、
「なんとか、モチベーション。」
その声に、理沙、
「うん。なんとか…。ありがと、センセ。」
一樹、
「はは、何言ってやがる。まっ、俺の生徒だからな。お前が、いつまでも、グズクズしている訳がない。負けん気が強いのは、クラス一。それに…、チーム一。」
と、一樹、そこまで言って、
「…と、言いたいんだが…。」
杏美の隣に立って…。
理沙、
「いっき先生。」
信じて…良かった。 vol.019. 「一歩前進したと思うんだ。その気持ち、大切にしよう。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。