そして和奏、紙袋から一冊の本を…。
「ほぃ。買ってきたよ~~。これでいいんだよね。」
理沙に一冊のコミックを…。
理沙、そのコミックを手に取って、
「わお。サンキュ~~。うんうんうん。これこれ。」
理沙に近づいて栞奈、
「ん~~???…コミック…???」
理沙、
「うん。」
「今、あんた、何読んでんの…???」
そして理沙の顔に自分の顔を下して、
「…倉橋君と持田さん…。ふ~~ん。」
理沙、
「今、これ…、凄い人気。」
「へぇ~~。そうなんだぁ~~。かかかか、私ゃ、ドラマだけどね~~。」
そんな栞奈に、
「もしかしたら…、ドラマ化になったりして…。高校生の胸キュンの物語だから…。」
「へぇ~~。」
そして15分後に和奏、腕時計を見て、
「おっと、時間だ。かあさん、先生と約束があるから、診察室に…。」
理沙と栞奈、
「うん。」
その日の夕方…。病室のドアが開いて。理沙を見るなり、
「ジャジャン。」
杏美である。
理沙、ベッドの上で、
「ヨッ。」
そして、杏美の後ろから入ってきたのが一樹。
理沙、
「かかかか。いっき先生~~。」
一樹、
「ヨッ。元気そうだな。…何、車椅子ってか…。」
部屋の隅にある畳んである車椅子を見て。
理沙、
「うん。おかあさんとお姉ちゃんに先生に頼んでもらった。」
「まっ。だろうな~~。何ともポジィティブなお前の事だ。おとなしくベッドの上での生活なんて、柄じゃないだろ。」
その声に理沙、
「かかかかか。おかあさんにもお姉ちゃんにも同じこと、言われた~~。」
「…で、どうなんだぃ。脚の方…???」
「うん。まぁ。順調だって、問題点も見受けられないし。とにかくじっくりと、無理せず。だ~~って。」
淡々と話す理沙。
そんな理沙を見て微笑む一樹、
「そか。」
理沙、杏美を見て、
「ねね、今、部活…、どんな感じ…???」
その一言に杏美、顔をクシャリとさせて…、
「ミュ~~。もぅ~~。とんでもなくビシバシ。…どこの誰かさんが、データー戦略に匹敵させるチームを作るんだって、そりゃもぅ~~、大変でございますぅ~~。」
唇を尖らせての杏美。
その声にいきなり馬鹿笑いで両手を叩く理沙、
「キャッハハハハ。」
いきなり体をベッドから僅かに飛び跳ねるように。
その瞬間、理沙、顔をクシャリと、
「あた…。」
一樹、いきなり体を前に、
「おぃ。無理すんなって…。そんな、いきなり。」
理沙も、苦笑いして、
「てててて。ヤバイ、ヤバイ。車椅子も取り上げられちゃう。」
一樹、
「…ったく~~。…心配させんなって~~。」
そして一樹、杏美を見て、
「な~~にが、とんでもなくビシバシ。…どこの誰かさんだよ。…それに、な~~にが、そりゃもぅ~~、大変でございますぅ~~。だよ。…ったく。」
自分も口を尖らせて…。
理沙、
「かかかか。…で、なによ、その…、データー戦略って…???」
杏美を見て…。
杏美、理沙に、
「ふん。芙美から聞いたんだけど。何やら、鴻上のバレー部、今、データー戦略ってやってるみたい。バレー部監督の先生の趣味がIT関係なんだって。」
「へぇ~~。そうなんだぁ~~。鴻上の監督が~~。」
一樹、杏美を見て、
「おまえ…らぁ~~。凄ぇなぁ~~。どっからその情報…。」
「…って言うか~~。芙美に鴻上に行っている、従妹がいるんだって。情報は、そっから…。」
その話に理沙、
「へぇ~~。」
そして杏美、理沙にもいろいろと話を…。
その話を聞いて一樹、腕組みしながら、
「しっかし…、おまえら…、よくもまあ…、そんなに細かく…。」
杏美、一樹に、
「いやいやいや。だから~~。従妹がいるから~~。」
いきなり一樹、
「あ~。あ~。分かった、分かった。はぃはぃ。」
左手を左右に振りながら…。
理沙、
「いやいやいや。でも…、凄いよね~~。…とにかく、その転校生…。ん~~。確かに…、いたよね~~。見掛けないのが…。」
杏美、
「ん~~。言われてみれば…。うんうんうん。」
けれども杏美、一樹に、
「でもさ~~。先生。がむしゃらにビシバシやっても…、拉致…あかなくない…???」
その瞬間、理沙、
「ぷっ。それは言える。」
信じて…良かった。 vol.009. 「そりゃもぅ~~、大変でございますぅ~~。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。