薫子、
「とにかく…、早く帰って、シャワー。そのまんまだったら風邪ひいちゃうよ~~。」
茉祐子、その声に、口を尖らせて、
「う~~~~。」
「まっ、スニーカーを履いてたってだけは…正解。サンダルじゃあ~~、最悪だったよ~~。」
茉祐子の足元を見て薫子。
茉祐子、クシャリとして、
「ぶ~~~。」
車は走る。
シャワーを浴びて、着替えて茉祐子、リビングに。
薫子、
「はい。コーヒー。」
「ありがと。」
カップを持って茉祐子、椅子に座って…。
「あ~~。最悪だったわ。あそこでおとうさんの車…、見つけられなかったら、やばい、やぱい。」
薫子、
「私も、久々にパパの車、運転したわ。かかかか。」
そう言って薫子、
「辺りがいきなり光って、すぐに雷。しかも…わっ。と思ったら、一気に雨。どしゃぶりだよ。すぐに茉祐子ちゃんの事が頭に…。ラフな格好で…散歩。慌てて電話しても、スマホにも出ないわ、雨は降り続けるわ。あなたはあんなラフな格好はしていたわ、時間は経つは…。もぅ~~慌てた~~。」
茉祐子、その声に、
「ごめんなさ~~い。」
薫子、自分もカップを持って、茉祐子の前に…、
「さて。どうした~~???…休みにはあんまり家にいる事のないあなたが…。今日は…???」
そして、
「真純さんと聖子さんの前での…、あの…慌てよう~~。ん~~。どうした、茉祐子~~???」
その声に茉祐子、薫子を見て、そして目線をゆっくりと下に…。
「おかあ…さん…???」
「ん~~???」
「この前ね…。」
「ふん…???」
目を丸く、薫子。
「私…、羽田さんに…会ったんだよ。」
「ふん。そんな事…、言ってたよね。」
「うん。…で、話しした。」
薫子、茉祐子を見て、
「話しした…???…えっ…???」
茉祐子、カップを両手で持って、そして一度啜って。
薫子、
「はい…???何を…???」
茉祐子、薫子のカップを見つめたまま、じっと…。
「霧島さんの事…。」
「えっ…???」
その声に薫子、表情が変わる。
茉祐子、続ける。
「私…。」
茉祐子、カップを見ているはずの目が、今度は焦点の合わないような感じで…。
「私…、霧島さん…の事…、好き…なんだ。」
瞬間、薫子、
「茉祐子…。」
「好き…なんだ…。」
そこまで言って、今度は茉祐子、顔を傾げて、
「…って、言うか、今は…もぅ…、好きだった…だけど…、ね。」
薫子、そんな茉祐子に困ったような表情で、
「ま…茉祐子…ちゃん。」
「わ…、私ね…、霧島さんの事…、好きだった…。好きだったんだ~~けど…。…その…これからも…、好きになること…、やめた。」
その話に薫子、
「えっ…???」
「おかあさんみたいに…、霧島さん…、好きになる事…、やめた。」
「茉祐子…ちゃん。」
そして薫子、
「もしかして…。…その事…、羽田さん…から…???」
茉祐子を…、顔を傾げて見るように…。
茉祐子、まだ焦点が合わないかのような目で…。
そして声は出さずに、顔をコクリと…。
「私…、羽田さんには話さなきゃって思って…。」
「羽田さんに…話す。」
それにまた茉祐子、顔をコクリと…。
そして、
「どう…いう…???」
茉祐子、
「おかあさん。私ね…、実は…。」
茉祐子、一颯の家でのバーベキューの事から、
凛久の事を少しずつ意識し始めた事を薫子に話す。
薫子、
「茉祐子ちゃん…。」
そして茉祐子、時々凛久と偶然にも会っての様々な事。
そして凛久の彼女のふりの事まで、薫子に一切合切、隠すことなく…。
話している時の茉祐子、キョトンとした顔。そして口を尖らせてたり、
口を真一文字にしたり、ぐしゃりとした顔をしながら…、凛久との今までの事を…。
薫子、茉祐子を優しく見て、
「そっか~~。茉祐子ちゃん、霧島さんに、お台場に行った時に…。」
茉祐子、
「うん。」
そこまで話して…。すると今度は、茉祐子、少し瞼を熱く…。
「…けど…、ね。けど…。」
薫子、それ以上に優しい顔で茉祐子に、
「うん…???」
茉祐子、堪えきれずに、涙が頬を…。唇を絞って…。そして、
「ふぅ~~。」
そして鼻水を啜って…。
「私じゃ…、ダメなんだよ、霧島さん。」
薫子、
「……。」
薫子と茉祐子~その愛~ vol.234. 薫子、「とにかく…、早く帰って、シャワー。」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。