小説★オット+ツマ=? 6 | みみぴちがってみみぴいい

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オット+ツマ=?              の続きです。







離婚届に自分の名前を記入して 自宅のリビングに置きながら茜は深呼吸した。



3日考えて書いた手紙と数冊の通帳、印鑑など 管理していた一切を揃えて


一緒に並べ心の中で別れを告げたら 遺書のように思えて悲しくなった。


この家にいた自分を 自分の手で抹殺するのだ。 家族をも抹殺するのだ。




3日前、実家から信哉のマンションへ家出を決めた時の 興奮に似た集中力は


時間と共に醒め始め 未来予想図を描けなくなった息子たちは 疲れを見せ始めていた。





子供の衣類や自分の身の回りのものを 信哉から借りた車に詰め込みながら


二度とここに戻れないのが自分だけのような予感が走った。


霊感もないし 占いも信仰も何も持たないできた茜だったが その瞬間の閃きに近い


予感は一気に不安となって 心の全てが真っ暗になってしまった。



しばらく立ち上がることも出来ず その予感に呪われたように座り込んでいた。



どれほど時間が経ったのだろう。



午後になると見せる影が リビングを照らしてきた。


家の中にいて 影の形で時間がわかるほど知り尽くした家から出て行く。


この家にあったはずの 希望とか夢とか愛とか そういった暖かい熱が


まだどこかに篭っているのではないかと 心の手をかざしてみたが 見つからなかった。




最後の炎は いつ消えたのだろう。 夫だけではない。 私もその炎を守らなかったのだ。


手紙に書いた 最後のフレーズを頭の中で読み返した。




『ごめんなさい そして ありがとう。 一生 感謝し続けます。』




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茜サイドに変わりました。








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