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オット+ツマ=? 1
の続きです
『金曜日 お願いします。詳しいことは 会ったときに。』
学校と会社からの 緊急連絡のために持っている感覚だった携帯に
自分の感情や事情が加わったのは 離婚してから初めてではないかしら と思いながら
紗江子は携帯の画面を食い入るように眺めた。
自分の中の小さすぎる変化が嬉しいし 変化が連続して起きることも嬉しかった。
会ったとき。。。
そのフレーズを何度となく読み返しては いつのことなんだろう とワクワクする。
『来週から 金曜日に優君と一緒に帰ってこよう。で一緒にご飯食べるの。いい?』
慎吾は やったーー!!と大喜びだった。
『泊まっていいの?優んちさ お父さん遅いんだって。寂しいって言ってた。』
『そか。優君 いっつも元気だから 寂しそうにしてないのにね。』
『そりゃそうだよ、寂しいからって 寂しいっていう奴 いないだろ?』
紗江子が ほぉっと感心した声を上げると 慎吾は鼻息を荒げながら続けた。
『お母さんがいないって すっげー寂しいと思うじゃん。普通。けどさ 優は言わないよ。
学校とかでは 言わない。 たまに誕生日のときとか クリスマスとかだと 言うんだよ。
たぶん 俺にだけだと思う。あいつ お父さんをすっげー好きだから。』
ついこの前まで お漏らししただの 転んだだのと泣いていた息子が 他人の心を想像して
それをしっかり捉えて 分析して語っている光景を眺めている自分が不思議だった。
いつの間にこんな成長をしてるんだろ。子供ってこうやって大きくなるから 親がなくても
育つって言われるんだろうか。 親の影響が目に見えていた時代は終わったけれど それでも
息子の優しさに触れてみると、自分の接し方や暮らし方が 決して間違ってはいないかなと
思えて嬉しかった。
そして こんな小さな感動や発見を誰かと共有しあいたいな と思えた。
誰かと ではない。今は直人と、とはっきり頭に描けている。
毎週金曜日は 楽しみな日だった。 6時におきて朝食を支度し 家事を済ませて慎吾を起こす。
7時半に登校する息子を送り出したら 化粧をして通勤の準備だ。
ああ 今日が終われば休みだ。慎吾とゆっくり過ごせる。そう実感する金曜。
2人でDVDを借りてきて夜遅くまで観ることもある。 その金曜は4人で過ごすのだ。
パソコンでお料理ページを開いて 紗江子は4人分 と書いてある欄をしげしげと眺めながら
メニューを考えた。
ランキングへのポイント押していただき ありがとうござます。
日曜から キャットストリートっていう 神尾葉子さんの漫画読んでて 笑
自分のブログを 放置しかけてます 笑
この物語は こちらの続きとなっております
興味がある方 どうぞ