小説★あっちの水は苦いぞ 1 | みみぴちがってみみぴいい

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私の帰宅を待ってるのは 三毛猫のクウ。漢字で 『空胡』


右の瞳が 緑色で 左がグレーがかった茶色。 美しい飴色。



・・・そんな話を 誰にしてみたところで あっそ。で? って言われるだけだ。




来月40になる独身で 恋人もいなきゃ 片思いをしてる相手もいない。


貯蓄はしてるし 厚生年金だし 3LDKのマンションだって買ってある


もし 明日死んだって ローンの残債を親に負担かけなくてすむようになってるし


心配なのは 美猫のくうのことだけ というのに 誰もが私にこう言う。



『大丈夫なの? 1人で心配じゃない? 寂しくない? 老後はどうするの?』


そのくせ うちの子供が 座っただの 歩いただの 入園だ 受験だって

そっちの価値観は どんどん押し付けてくる。



子供と猫と それほどまでに 差があるものだろうか? それさえ 私にはわからない。


来週 私のマンションで 年に一度のお泊りパーティーがある。



高校時代の 女ばかり4人が 毎年集まって 一泊でお泊り会をしてるのだ。


20年も続いているのは 私がいつも 暇だから。いや自由だから。


誰かが 結婚したり 離婚したり 出産したりしてるけど 私だけは 変わらずにいるから。


美鈴が言っていた。


『この部屋と 真琴は オアシスよ』






誰もが 豊かで 自分にしかない個性を生かし 自立した40女を目指していた。


気付いたら 誰もが 生きているっていうより 暮らしている。


目指していた方向と 現実には ちょっとした角度の違いがあったみたいだ。


1度くらいの 方向の違いが 20年も経てば その開きは もう 測れないほどだ。


昔 どこを目指していたのかさえ 笑い話。


それでも 誰かのために 誰かに必要とされて 必死で生きてる。




私は くうのために働き くうのために このペット可能のマンションを買って


自分のために くうを束縛し 自分のために仕事を続けているけれど


気付いたら 夢だったり 目標だった自分とは やっぱり 違っている。


あのタイミングで 結婚してたら どうなってたんだろうか。


あの時 仕事を変えていたら どうなっていたんだろうか。


いつ どうして なんの理由で 今日の私を選んで 進んできたんだろうか。


そんなことばっかり考えている 39歳だ。


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