
ホテルの公衆電話から 実家の両親と姉に 電話をかけた。
黙って出てきて 心配してるかな と思った。 携帯も切ってるし とよぎった。
『今 沖縄なんだけどさ』
『あらーー いいわねーー。 飛行機取れるかしら? 私も行こうかな?』
『いや。 一応 失恋旅行だし 一人でやらせといてくれる?』
『生意気ね。それで 沖縄??ちょっと ホテルどこなの?お父さんに言っちゃおう。』
あっという間に 100円玉が 消えていく。
ドキドキしながら 母親からの電話を終わらそうと 焦っていたら 父が電話口に出てきた。
『どこ? 迎えに行くから 白状しなさい。』
『ありえないってば。 25になった娘が 失恋して 現実逃避しに来てるんだよ!
そっとしといてくれるのも 親の愛だと 思うけど!!!』
『泊まってる場所 いわないと 警察に通報するぞ。 』
むすびは 落胆しながら 両親に恩納村のリゾートホテルの名を告げた。
親子の力関係は いつ 逆転するのだろう。 むすびは 毎日考える。
経済力の問題かしら?それと 私が結婚して 家を出たら 対等かしら?
野生動物の番組を観てると 親の立場に立って観たり 子供の立場になって観たりする。
どちらに立ってみても わかるのは
『動物たちのほうが 私より ずっとずっと 生きる意味を知ってる』 だった。
来るな。 間違いなく このホテルに 今日か 明日には 父も母も 姉も来るな。
確信を持ったむすびは ホテルを引き払おうかと 一瞬思ったが やはり できないのだ。
失恋孤独堪能スケッチ旅行が お気楽家族旅行に のっとられる前にと
むすびは スケッチブックを抱えて ホテルのプライベートビーチを 歩き回った。
先月 城所が家族で滞在したと 会社の人間から うっかり聞いてしまった ホテルだ。
自虐趣味はないはずなのに 同じホテルを選んだ衝動に むすびは 今更ながら
困惑していた。
『あっちも家族で来たからって こっちも家族で泊まるとはね・・・ いかにも 私らしいわ。』
みなさん クリックありがとうです!!
小説部門で 昨日 初の100以内に 食い込みました!!!!! 初だーーー
入ったのは 小説じゃなくて ネタ記事のほうだったけど 笑
それでも 嬉しいです!!!!!!