小説★涙のわけ 4 | みみぴちがってみみぴいい

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休みの日、何時に起きる? ブログネタ:休みの日、何時に起きる? 参加中
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涙のわけ 1        の続きです 






麻美との交際は 敦が予想していたより ずっとスムーズだった。



つまり 敦が今まで知っている どの女性より 麻美は大人だったのだ。



敦が常に煩わされてきた 『くだらない戯言』 を ぶつけてこない麻美に



敦は 尊敬にも似た感情で 接していた。




メールに返事をしなくても 怒られることも 泣きつかれることもない。




着る物に いちいちコメントもしない。



エッチをしすぎても しなすぎても そのことに振り回されない。



仕事と約束なら 仕事を優先したい敦を 放っておいてくれる 初めての彼女だった。



異性といて 楽だ と感じる初体験に 敦は手足を伸ばして生きている実感を掴んだ。



誰かといることが いつだって苦しかった敦にとって 麻美は救世主のようだった。



誰かといながら感じる 疎外感や罪悪感ほど 敦を苦しめるものはなかった。





『香港の両親が そろそろ 結婚しないのかって。


 するなら このマンションを敦に譲渡する手続きをしたいんだって。』


そんな話が出てきても あ そうだよね という気持ちになれたほど。





そして 2人は 結婚と言う不思議な階段を 一段一段 上がりはじめた。



会ったことのなかった両親や兄弟と会い まるで ずっと前から知ってるかのように



親しげに話をし 他人という国境を壊して 親戚と言うぬかるみに 足を入れあう確認。





ヤクザ映画で観る 誓いの杯 みたいな酒を飲んでるんだな と思いながら


敦は 登っている階段を 一段一段 振り返っていた。


この紙を出したら 俺たちは どうなるんだろう?



こんな紙切れがないと 俺たちのこの 信頼とか 安心とか 尊敬とか っていう気持ちは



維持できないのだろうか? 俺の気持ちは そんな いい加減なものなのだろうか?



俺は こんな紙がなくたって 麻美を一生 世界中の誰よりも尊敬し 大事にし



理解し 大切に大切に想えるのに。 麻美は 違うのだろうか?





結婚という階段を登りながら 敦はずっと 考え続けていた。




そして 全て整って 麻美がその紙を出しに行きたい と言っていた休みの日に


敦は 破き去ったのだった。




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あ 休日っていう設定まで してたのに 何時に起きるか 書かなかったわ。


ネタおち 失敗。。。



そうそう 私は 若い頃 敦と同じこと 考えてました 笑