小説★レイラの恋 2 | みみぴちがってみみぴいい

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処女の恋の 姉妹編です。

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レイラの恋  1



少年の心を 自分の胸に当てはめ しばらく哀しみと苦しみを共有していたレイラだったが




シンクロしている自分も 社会の中に居場所を求める割りに 適応力を見失いながら




時間をさらさらと 流してしまっている人間だと 情けなく思った。




同世代の人間たちは そろそろ 人生の大半を 仕事という鎧だけで生きているだろう。



どこの大学だったか 何人と寝たか なんていう話題が 童話のような扱いだろう。






ゲイである。 そのことだけで アウトローになった弱い自分に 嫌気がさした。




孤独。 一人で感じる時の孤独と 大勢でいるときの孤独は まるで違う。



一人を味わいながらのそれは 時折 自分の心を宇宙に例えられるほどに 



拡がりを持ち 大勢の中にいながらにして感じるそれは 自分ほど無意味な人間はいないと



絶望にも似た暗闇に 立たされる。




誰もが 感じるものじゃない。 ましてや 選ばれた人間が行く場所でもない。




勝手に 陥る蟻地獄のような 底なしの砂地獄を知っている人間が レイラは好きだった。




ゲイであるという共通点より ずっと 魅力を感じて心を寄り添え合えた。





高校生にして その孤独を知る少年の授業をしている時間は レイラにとって 



秘密を共有しあった仲間との時間に 似ていて 心地よかった。




少年は それ以降 同性愛であることについて 何ひとつ 触れてくることはなかった。



興味本位の質問も 覗き趣味的な質問も ましてや 軽蔑や拒絶と言う 



仕打ちに近い視線も まるでなかったことに レイラは尊敬していた。






少年も レイラが自分に対して なんら変わることのない態度でいてくれることに



心からの感謝をしていた。 



大人に話すと 悟りを語られるか 人生を箇条書きにくどくど押し付けられるか



あるいは 甘えてるななどと 説教を言われるのがオチだと 経験から学んでいた。





それが レイラは そっか と言っただけで 言及しなかった。



かといって 聞き流し 何もなかったことにしたとも思えないほど 落ち込んでいた。




自分の気持ちを 等身大に受け入れてくれた 初めての大人との出会いだった。








授業を重ねていくうちに 少年の心は レイラの心にも 寄り添いたいと願うようになった。



恋愛感情だとは 思えないその想いは 少年の心のどこかを



かつてないほどに和らげていることだけ わかるような 揺るやかな液状の想いだった。





大学受験をするには 学校の出席日数が必要で その重みは



氷点下の中を 素足で歩くより 困難に思えていたのだが レイラはこういった。




『毎朝 一緒に学校まで行こうか?』



時給も出ない ボランティアにもならない行為の申し出に 少年は頷いた。



一緒にいられる時間が増えたら もっと生きていく勇気が増える気がする。




若さと言う残酷さを持つ人間と 教師と言う使命感に燃えすぎた人間たちの城は



少年には いまだ 毒針を持つ サソリだらけの砂漠を歩くような恐怖感だ。




その砂漠までの道のりを 同じ方向を向いた同胞と一緒に行けたなら サソリさえも



道を開けてくれそうな そんな夢物語が描けるのだった。




それにしても なんだって 自分はこれほどまでに この人に甘え




この人も 自分を甘やかせてくれるのだろうか。 その感情の種類を明確にしたくもあるし



このまま 流されているほうが 傷つけあわなくて済むようでもあり




少年は 『先生』 と慕う男の性を いつも意識しながら 救いのみを求め続けていた。




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って まだ終わりそうもないので 明日の朝の更新まで 引っ張ります。


ごめんなさいね。




そうそう アンケートに 赤裸々な あるいは 照れを含めて


お答えいただきました ありがとうございました。



あら それ何 って方は 昨日の午後の記事を ご覧ください。