
本文はここから
題名は違うけど
こちらと
こちらの 続きです
全く飲まない直人と 酒好きの紗江子の食事会。
2人の携帯が鳴ることはなく お泊り合宿は 無事に進んでいった。
『そろそろ行きますか。』
と終わりのゴングを鳴らした直人だったが こんなにもどかしいのは何故だと
悲しくなるほど 紗江子を帰すのが 惜しかった。
いつも我慢してるから と笑いながら デキャンタでワインを頼み 美味しそうに
飲み干していく目の前の女性は 特別な話をしたわけでもないのに
直人の心に 寄り添っている実感があった。
帰り際に また今度 と一言いったところで 単なる社交辞令だ。
『飲めるなら もう一軒 行きますか?』
時間は 23時を回っている。
素面の直人は 珍しく優柔不断になり 心と頭がバラバラに動いてしまう。
潤んだ瞳で 宙を見つめる紗江子は 直人の心の視線を探していた。
アルコールの分だけ 唇がふくよかに煌き
酔いの分だけ 瞳が濡れ 開放感の分だけ 鎖骨に翳りが滲み 紗江子は美しかった。
『母親として 悩んでます。 けど 一人の人間としては もっと話したいです。』
『まったく 同感。 今日は お互い 親である自分を外しませんか。
いや 口説いているつもりでは ないんです。 なんていうか・・・』
『すっごく嬉しいです。』 紗江子なりに 必死だった。
照れに縛られて がんじがらめになるには 経験がありすぎるし
酔いに任せて 自分を軽率にしてしまうには 年が行き過ぎているんだな と
苦笑いをしながら 直人を見上げた。
小高い丘から 海岸線を眺めているような ゾクゾクした気持ちだった。
地図の通りに 地形がかたどられている様を眺めると 紗江子は満たされるのだった。
自分が 地形の生き証人になったような 優越感に包まれる。
あの ゾクゾクした気持ちに 近かった。
直人の心の行方と 自分の人生の縁を 眺めているような感覚は
紗江子の好奇心と 冒険心を 同時に煽った。
落ち目のランキングですが 踏ん張っております 笑
いつも 押してくださって ありがとうございますですことよ。
今日も おねがいしておりますです