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この物語の続きになる予定です ★
『レモン 今日は一緒に行く??』
放課後の教室は 家まで徘徊する人と 部活に急ぐ人とのうねりでごった返していた。
『どこ?』
同じく帰宅部で 徘徊に最大の価値を見出している可憐が 声をかけてきた。
『雑貨屋めぐりだよーー。 真由も行くってーーー。』
『いいや。行かない。』
『なんでーー。真由 いい子なのにーーー。』
いい子か 悪い子か なんてことは 問題じゃない。
合わせる気があるかないか だけ。 でも 説明しても わかりっこない。
『また お兄ちゃんとこ? 禁断の味は 美味しいのかねーーー』
レモンは 可憐を睨みつけた。 太郎と自分の どんなことも 言葉にするな。
『まぁ いいけどさ。 3年生の高宮先輩が レモンと話したいって言ってたけど
なんて言っとく?』
『うんこ』
『えっ??』
『うーーーーんーーーーこ!!!!!』
レモンの母親が 太郎の父親と再婚したのは 2年前の真夏のことだった。
中学3年だったレモンは なにかにつけて母に反抗した。
どうにもならない気持ちを抱えて部屋で泣いていると
高校3年の太郎が部屋に来て 英語の参考書を一ページ目から読みだした。
慰めも 説教も 諭すこともなく ただ ひたすら 参考書を朗読する太郎。
英語が終わると 次は社会になり 国語になり 理科になり 最後に数学だった。
『太郎って数学が苦手なの?』
『なんで分った?』
『だって 最後の最後にきたから。 大好きか大嫌いかどっちかでしょ。』
『レモンは すごいね。 だから かあさんの気持ちに歯向かえるんだな。』
太郎は 参考書を閉じながら 話を続けた。
『人を怒らせることが出来るって 才能だと 俺は思う。
俺は 怒らせ方がわからないから いつだって 自分を怒って 終わっちゃうんだ。
レモンは 自分を沈めるテクニックさえうまく掴めば もっと楽になるんだろうな。
俺より ずっと 自分に正直で 誰にも媚びてない。 羨ましいよ。』
その会話以降 太郎はレモンの心の一番奥にある 静寂の泉に棲み始めた。
太郎といると レモンは自分でも持て余す マグマのような 痛いほどの熱い感情が
沸き上がってこなくなるのだと 気づいた。 波でいえば 凪のキラメキが 心に広がる。
それは 恋より性質が悪かった。
好きなら 嫌いになれるのに
必要すぎて 心から放り出すことが 出来ないのだ。
かといって その想いを言葉で表すことは もっと難しかった。
帰宅したレモンは 着替え終わると 携帯を机に置き 宿題だけ終わらせると 家を出た。
そして 太郎のバイト先である 進学塾の前で 本を読みながら待ち伏せした。
22時を回り 太郎が出てくるのが見えた。
『腹へったの。 コンビニ行こう。』
『かあさんは?』
『おっさんの仕事のなんかで どっか行った。』
『この前 聞いたぞ。 最近レモンがパパって呼んでくれるんだって 親父泣きそうだった。』
『涙もろいとこ あんたにそっくりだね。太郎。』
『かあさんの優しいとこ お前 そっくりだね レモン』
優しげに潤んだ瞳に 微笑みかけられ レモンは心の結び目が 綻んだ気がした。
で 前回の物語になる っていう 自己満足の設定(=⌒▽⌒=)