空が白み、微睡の中、身体中が気だるさで包まれる。
隣の温もりに肌を寄せれば、「起きましたか?」の言葉と共に唇に触れた温もり。
「おはようございます」と擦れた声で伝えれば、小さく笑った彼が「おはよう」と応えて額にリップ音と共にキスが贈られた。
バスローブを羽織った礼司さんがコーヒーを入れてベッドまで持ってきてくれた。
お礼を伝え、毛布を胸辺りまで持ってきて、コーヒーの温度を感じながら少しずつ飲み、ようやく身体が眠りから覚めようとしていく。
静かな時間。
窓の外を見ていた礼司さんが口を開く。
「赤の王…、周防尊は私の友人なのですよ」
「…」
礼司さんに視線を向ければ、私を見て口元に笑みを浮かべる。
「向こうはどう思っているのかわかりませんが」
「…王として互いに思うところがあると」
「はい」
「宗像室長は…」
「…名前を」
「…礼司さんは友人として周防尊を助けたい…?」
「ええ、助けられるのは恐らく王だけですから」
「…」
その言葉に重みを感じた私はまだマグカップに残るコーヒーを見つめた。
コトリとサイドテーブルにマグカップを置いた礼司さんは私の隣に腰を下ろせば、
ゆっくりと軋むベッド。
「どうかされましたか?」
顔を覗き込まれるようにぐっと近づく端正な顔。
恋人同士となってから少しの日は経っていた。
与えられる温もりとは裏腹に私の心にある不安は少しの影を落としている。
「…私は貴方の助けとなっているんでしょうか」
「…何を今更」
私のマグカップをそっと奪って、サイドテーブルに置いたあと、
そっとその腕の中へと包まれる。
胸にそっと頭をあずければ、顎が指で掬われ、今にもキス出来そうな距離で瞳がかち合う。
「こんなにもマドカを求めているというのに。今は貴方なしでは生きていくのが苦痛になりそうなほどですよ」
その言葉に嬉しく思う反面、躊躇いが表情に出ていたのか、礼司さんが小さく息を吐いた。
「しかし…自覚がないとはタチが悪い。もう一度その身体に躾けなければなりませんね」
私の唇を食むように、啄ばむように与えられるキス。
「礼司さ…」
内に篭もりはじめる熱を気付かないようにしながら声をかければ、欲を隠せていない瞳と交わった。
「もう朝ですから…」
「マドカ…」
私に体重をかけるようにベッドに押し倒して、両手首はしっかりと押さえつけられた。
「お前は俺のものだ。身も心も。…傍にいてほしい」
「…貴方が望むなら」
囚われているのは私のほうだというのに。