特捜・短編小説【Storm of the kiss】#5(天王寺) | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。



#1  #2  #3  #4






設定無視、

キャラ崩壊あり。


それでもよろしければどうぞ。
















それからしばらくして私たちは華や浅野さんたちも絡めて飲んだり、
日常的にメルしてみたり。

そして二人で呑みに行ったりするくらいの仲になった。



何度目かの二人での呑み。


先にお店に入っていた私は天王寺さんをカウンターで待っていた。


慌てた様子の足音が耳に届いて、そちらに顔を向ければ、申し訳なさそうに天王寺さんは私へと歩み寄る。


「悪い、待たせた」


「大丈夫です?キャンセルしてくれても良かったのに」


「アホ言うな。ゆうに…ゆうと呑みたかったんや」

そう言って隣に腰掛ける天王寺さん。


「でも…ムリしてません?顔色も何か…」


「そうか?まぁ…人間誰しもそんな時もあるやろ」


「そう…ですね」

そう言って天王寺さんのお酒を頼んで、乾杯し、おつまみを摘んでいくも、
やっぱりいつもの天王寺さんとは違う感じで。


私に合わせてくれてるのが申し訳なくて、天王寺さんがお酒を1杯呑み終えたところで声をかける。



「天王寺さん?やっぱり今日は早く切り上げましょ?お疲れみたいだし」


「あー…」

そういうと、天王寺さんは空いたグラスに視線を落として、軽くグラスを持ち上げる。

カランと動いた氷を見つめたまま、天王寺さんは呟いた。



「世の中、上手いこといかへんことの方が多いなぁ」


「…そうですね」

私の言葉に眉根を寄せて、切なげに笑みを浮かべた。


「今日の事件はちょっと疲れたわ…。…あかんな、ゆうに愚痴るつもりはなかったんやけど。
…行こか」





店を出て二人とも言葉はなく、駅に向かいながら並んで歩いていた。


そんな時、すれ違ったと思われる人に後ろから声をかけられる。


「天王寺さん?」


「お前…、○○か」

天王寺さんも振り返り、声をかけてきた20代後半あたりの男性に少し目を見開いて応える。


「はい、お久しぶりです!」


「元気そうやな。そうか、…出れたんやな」

一つ息を吐いて、口元に笑みを浮かべながら納得したように声をかけた。


「はい。今職探し中です。…天王寺さんあの時は本当にありがとうございました。
その…俺、あの時の天王寺さんの言葉嬉しかったです」


「そんなエラそうなこと言うたか?」

天王寺さんが照れくさそうに頬を指でぽりぽりと掻く仕草が可愛らしくて、思わず笑みが零れてしまう。


「かっこよかったですよ。…あ、彼女さんですか?奥さん?」


「「…!!!」」

私を見てのその唐突な言葉に言葉が出ない私たち。


「かっこいい旦那さんですね。俺、天王寺さんに憧れてるんですよ。
じゃあ、俺行きますんで!」

笑顔と共に颯爽と去っていった男性。

私たちは立ち尽くしたまま、しばらく沈黙が続いた。

私は何て反応したらいいかわからなくて、熱くなる頬に気付かれないように少し俯く。


「…何や、勝手にベラベラしゃべるだけしゃべって…。
あんなんいきなり言われたら…びっくりするやんな?…行こか」


「…はい」

さっきのこともあって、何だか照れくささが私たちを包む。


そんな風に他人から見られているという事実。


じんわりと感じていたものが急に胸を熱くするように込み上げる。



『やっぱり私、天王寺さんが好きなんだ…』


自覚する気持ちと身体。


そして少し照れくさいけど、最近思っていたことを今、彼に伝えたくなった。


隣を歩く彼の顔を見上げる。



「…天王寺さん」


「…何や?」


「私、事件のこととか警察のことは詳しくわかりませんけど…。
天王寺さんや華や皆さんを見てて、いつも感謝してるんですよ」


「感謝?」


「確かに最近はニュース見てるだけでも色んな事件ややりきれない事件も多いです。
でも…そんな自分を止めて欲しい犯人もいるんじゃないのかなぁって」

少し驚いたような表情をして立ち止まる天王寺さん。

そんな彼を少しからかうように私も立ち止まってその顔を覗き込む。


「天王寺さんって犯人にお説教しそう」


「…まぁ、必要なときはするけど」


「熱血漢って華にも聞きました。その犯人は後々天王寺さんに感謝するんじゃないかな~なんて思います。さっきの人みたいに」


「…」

天王寺さんは黙ったまま、私の言葉に耳を傾けてくれている。


「警察の方が頑張ってくれてるからまだ日本はこれだけ平和なんだと私は思ってます。
だから…感謝してるんですよ」


「そか…。1人の犯人捕まえることが巡り巡って、ゆうも守ってることになるか…」


「そういうことです」

私の言葉を噛み締めるように零した言葉を私は笑顔で頷く。


彼の視線と私の視線が絡む。



「ゆう、…ええ女やなぁ」

天王寺さんが目を細めながら優しく笑うものだから、急に照れくさくなってしまう。


「今更ですか?」


「…」


「あれ、突っ込むとこじゃ」

少しとぼけたように照れ隠しで言った言葉に返しが来ずにその表情を窺う。



「…ゆう」


「…はい」


「まだ時間いいか?ちょっと座ろ」


私は歩き始めた彼の背中を追いかけた。









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あれ…、終わらないな。。。(・∀・)