薄桜鬼・妄想現パロ【Step before the start of the love】#8 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

第1話はこちらから → 



現パロ。


隊士?たちは美容師さん設定です。


キャラ崩壊あり。



それでも宜しければどうぞ。















閉店の10分前。


店の前につく。



一階は中の灯りはついていたけど、ブラインドは下ろされていて『CLOSE』の札がかけられていた。

二階を見ればまだ灯りは煌々としている。



『ああ、緊張する…』


階段を一段一段踏みしめるように歩く。



ガラス張りな入り口はこちらからも向こうからも勿論丸見えで。

カウンターのところで多分談笑してた総司さんと平助さんがすぐ私に気がついた。



「美奏?!どうしたんだよ?こんな時間に」

平助さんが真っ先にドアを開けて声をかけてくる。


「え…と。特に用事ってわけじゃ…」


「いらっしゃい。美奏ちゃん。寒いし、とりあえず入ろうか」


「はい…。お邪魔します」



「ソファ座って。…髪、切りに来たってわけじゃなさそうだね?何か飲む?」


「いえ…、いいです。あの…左之さんは?」


「ああ、左之さんなら…ほら来た」


奥に階段があるんだろう。階段を上がってくる音が聞こえた。


それだけで私の胸は跳ね始める。



階段を上がりきれば、ふぅと軽く息を吐いて。


気だるそうに視線を上げると視線の先に私を捉えて目を見開いた。


「美奏…」


「こんばんは」


私は少し緊張して軽く頭を下げた。



「…何だよ、やっぱりベリーショートが良くて来たのか?」

軽い苦笑いを浮かべながら、近づいてくる左之さん。



「いえ!あの…お礼が直接言いたくて…来ました。お口に合うかわかんないですけど、クッキー焼いてきたんで、皆さん食べてください」


「ええ?!まじで!!もしかして手作りとかだったり?!」

凄い勢いで食いついてきた平助さん。


「はい」


「うおー!マジで!!!俺、またぱっつぁんに自慢してやろ!」

両手に拳を握って雄たけびを上げる。



「じゃあ、ますますお茶入れてこなきゃ。美奏ちゃんは何飲む?こういう時は甘えるものだよ?」

総司さんはクスリと笑って、優しく聞いてくれた。


「じゃあ…、ミルクティでお願いします」


「了解。左之さんはコーヒーでいいよね?平助、行くよ」


「ええ?総司だけで行ってこいよ」

『待て』をされている子犬のような表情だった平助さんが総司さんの言葉に怪訝な顔をする。



「…いいけど、平助だけ石田散薬混ぜてやるから」


「ちょ、勘弁。行きます、行かせて頂きます」

口角を上げた総司さんに、背筋をシャンとした平助さんが慌ててバックに入っていった。


その様子を左之さんと二人でクスクス笑った。



そして口元に笑みを残したまま私の横に腰を下ろした左之さん。


私の後ろの…背もたれに左之さんの腕が乗る。



『…何か、緊張するんですけど』


「…どうぞ」

恐る恐る差し出すと左之さんは右手で袋を受け取って、左手が私の頭にぽんと乗せられた。



「ああ、ありがとな。何か気ぃ遣わせちゃったみたいでわりぃな」


「いえ。本当に感謝してもしきれなくて…」

私は触れられているのもあって、気持ちだけ頭を下げた。



「あー…。でも今マジでびびった。ベリーショートにしなきゃいけねぇのかと思った。
自分で言うのもなんだけど、その髪型気にいってんだよ」


私の髪を見ながら、撫でていた手が止まって、今度は長い指先が私の髪を絡めて遊び始めた。



『ちょ…』


この人は私のこんなにもうるさい心臓の音が聞こえてないんだろうか。


視線が交われば、少し顔を傾けて「ん?」だなんて聞いてくる。



もう…、心臓が持ちません…。




「そんなわけない…です。皆からも好評だし。勿論私も気に入ってますし。
左之さんからもそう言って頂けると嬉しいです」

視線を逸らせても顔に熱が集まるのを感じる。


「…」

私の髪を遊んでいた手が止まって、不意に訪れた沈黙。



「…わ、私なんか変なこと言いました?」

慌てて左之さんの顔を窺えば。



「なぁ、美奏。…何でいちいち、そんな可愛いんだ?」

私に優しく笑いかけて、また髪を撫で始めた。



「へ???」


もうますます赤くなる顔は止められない。



『絶対、私の反応見て笑ってる!!!』

恥ずかしくなって勢いよく俯いた。





「左ー之ーさぁーん!美奏にお触り禁止!!」

不機嫌そうな平助さんの声が飛び込んできた。


「何かそうしてるとホストと客って感じだね」

総司さんが口角を上げながら飲み物を持って来てくれた。



「…おまえら…」


「はい、美奏ちゃんどうぞ」

私の前に差し出された紅茶。


「ありがとうございます」

お礼を言うと、総司さんが私の顔を覗き込んできた。



「大丈夫?キスとかされてない?」


「…は?」

私は目を見開いた。


「おい、総司…」

呆れたように左之さんが言葉を零した。



「あ、大丈夫だったんだ。そんなに顔が赤いからキスでもされたのかと思った」


「されてません!…あ、これ総司さんと平助さんの分です」

クスクスと笑う総司さんに、顔が赤いまま否定して、袋を二人に差し出した。



「サンキュ!疲れてる時にこういうのって嬉しいよな~!な、今食べていい?」


「どうぞ」


「僕、甘いものが好きなんだ。いただくね」


「俺も貰うか」



『緊張するな~』

なんて思いながら、皆の反応を窺う。




「うんめぇえええええ!!!いや、マジ美味い!」

平助さんがまた叫んだ。


『平助さんて…可愛い人だな』
なんて思ってクスリと笑ってしまう。


「平助、そんなに吠えると下にまだ土方さんいるから。でも、ほんと美味しいよ。
手作りの優しい味がするね」

ふわりと笑ってくれた総司さん。


「ん、美味い。ありがとな」

優しく笑ってくれる左之さん。



「ありがとうございます」

三人の反応が素直に嬉しくて、笑顔で応えた。


クッキーを食べながらも私に優しく視線を送ってくる左之さん。


照れくささをミルクティで流し込む。


じんわりと温かいものが胸に広がった。












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あと2話で終わらせたいw


番外編も書かなきゃだし。。。w



あの人も書かなきゃだし。。。









みふゆ