薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第5話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


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第1話はこちらから → 








いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
















屯所に戻ってきた沖田と斎藤は丁度話し合っていた近藤、山南、土方に冴の報告をした。



「何?!入隊しないと言ったのか!」

「…はい」

目を丸くする近藤に応える斎藤。


「まあ、これで良かったということでしょうね」

山南も軽く頷きながら言葉を溢す。

「そうだな。総司、斎藤、ご苦労だった。部屋へ戻れ」

山南に同意して土方は二人を促した。





「ところで近藤さん、さっきの話なんだが…」

「歳、悪い。急用を思い出した。悪いがその話は後にしてくれ」

「ああ…、構わないが…」

スッと立ち上がり、部屋を立ち去る近藤の後姿を見送る土方と山南。


「どうされたんでしょうか…」

「さあな。ま、悪い予感しかしないのは確かだ」

土方は眉間に皺を寄せて溜め息を一つ零した。





「島田くん。いるか」

「はい」

近藤に呼ばれた島田が襖を開く。


「松原くんの所在はわかるな?」

「把握しております」

「この手紙を松原くんに渡して欲しい。そしてその場で読んでもらい、返答を俺に伝えてくれないか」

「承知しました」

近藤から文を受け取り、懐に忍ばせる島田。

「頼んだぞ」

頭を下げ立ち去る島田を近藤は頷きながら見送った。





島田が冴の家に着いたのは昼過ぎのことだった。



冴は島田から渡された近藤の文を少し読んでは島田を見つめを繰り返した。

その手紙の内容が信じられないような表情をする冴。


そこにはどれだけ壬生浪士組が、そして近藤が冴を求めているのかをとても情熱的に綴られていた。

胸にじんわりと熱いものが込み上げてくる。



「…この手紙は本当に近藤さんが?」

「そうです」

島田はこくりと頷いた。



「私はこんなに評価されていい人間でしょうか?」

手紙に目を落としながら呟く冴。


「申し訳ないが私はまだ貴方のことはよくわからない。…返答を聞きたい」


「…わかりました。…行きます!」

力強く頷いて、島田に答えた。


「承知した。…では今から来れるか?服装は男装をお願いしたい。なければ昨日の稽古着でもいい」

「はい、わかりました。…急いで用意します」

頷いて家に向かおうとする冴。




ふと足を止めて島田に問いかけた。


「あの…、島田さん…でしたよね?野菜とか壬生浪士組でも使いますか?」

「それはそうだが…」

「良ければ…畑の野菜を…持っていってもいい…ですか?
…家を開ければ枯れたり腐ったりするだけだし、…勿体無くて」

申し訳なさそうに申し出る冴に島田は笑顔で応える。

「わかった。手伝おう」

「ありがとう!」

冴もほっとしたように笑顔に応えた。




屯所に向かう山中。

緑萌える風景の中、落ち葉を踏みしめながら籠に沢山の野菜を担いだ島田と並んで歩く。


「…近藤さんは…その…壬生浪士組ではどのようなお立場…?」

島田に申し訳なさそうに上目遣いで伺う冴。

「局長だ」

「一番偉い人?」

「ああ」

『一番偉い方にあんな手紙を頂けたんだ』

冴は気分の高揚を抑える様に静かに息を吐いた。


「…随分と嬉しそうにしているな」

「…人に必要とされることが…こんなに嬉しいことだとは思わなくて」

島田の言葉に照れくさそうに口元に笑みを浮かべた。

「…そうか」

冴の言葉に島田は少し目を細める。



『この山にもしばらくは戻って来れないだろうな』

振り返り遠く離れていく家を見つめる。



『行ってきます』

頬を撫でる新緑の香を掠める風が心地よかった。






屯所に着き、島田に案内された土方の自室。


静かに筆を置き、長い溜め息を一つ吐いて冴を見やる土方。


「来たのか…」

「…はい」


「島田、幹部を全員ここへ呼べ」

「承知しました」


島田が部屋から立ち去ると何とも言えない重い空気が部屋を包んだ。


冴は畳をじっと見つめ、土方は目を伏せて思案していた。




冴を囲むように幹部達が座っていく。

中央に座る冴は緊張した面持ちで手を握っていた。



「へぇ、来たんだ」


頭上から降ってきた言葉に顔を上げれば沖田が口角を上げて冴を見ていた。

「…はい」

冴は小さく頷いて応え、また畳みに視線を戻した。



幹部も全員集まり、最後に近藤が部屋を訪れた。


「おお!松原くん!!来てくれたか!嬉しいぞ!」

「…はい!」

わははと笑いながら入ってきた近藤に冴の身体は緊張が走る。



「君の力、この壬生浪士組の為に尽力してほしい!」

冴の前で膝を付き、冴の手を取って、目を見つめながら手に力を込める近藤。


「…私で良ければ…尽くさせて…いただきます」

緊張の面持ちで近藤の言葉に応える冴。


「うんうん!期待しているぞ!じゃあ、歳、俺は会合に出席してくるからな」

冴に笑いかけ、立ち上がりながら土方に声をかける。

「…ああ」

溜め息混じりに応える土方。




「ったく。あの人、面倒なことは考えたりしねぇからな」

土方は近藤の立ち去る足音を聞きながら眉間に皺を寄せ目を臥せてぼやいた。

そして冴を見据える。



「おい、もう一度聞いてやる。ここには厳しい規律がある。守ってもらうのは当然だ。そして脱走や離隊は死を意味する」

「…」

冴は息を飲んだ。


「本当に壬生浪士組に入りたいんだな?」

「はい」

唇を真一文字に結んだ冴が大きく頷き、答えた。


土方の重い溜め息が部屋を埋め尽くす。


「…さて、貴方のために考えなければならないことが沢山ありますね」

山南が冴に向けて言葉を投げる。


「…すみません」

「謝るくれぇなら帰れ」

思わず口をついて出た冴の言葉に、土方の静かながらも苛立ちを含んだ声が部屋に響いた。



「…見てわかる通り、この屯所は野郎ばかりだ。男装は当たり前だ。
それで、まず名前だ。屯所内ではお前のじいさんの名前『松原忠司』を名乗ってもらう。いいな?」

「…はい」

冴は土方の気迫に圧されてか深く頷いた。



「で、問題はお前の部屋だ。平隊士たちの部屋に入れるのは女とばれるのも分かりきっているからな」

「引っ張ってきた近藤さんの部屋に入れちゃえばいいじゃん。小姓としてさ」

溜め息交じりの土方に藤堂が声を上げる。


ちらりと藤堂に目をやるものの、すぐに冴に視線を戻す土方。

「…。俺達はまだお前を認めたわけじゃねぇ。いきなり局長と一緒にするなんざ、出来ねぇ話だ」



「僕の部屋でいいですよ。何かおかしな動きをすれば斬っちゃえばいいだけの話でしょ?」

土方の言葉に沖田があっけらかんとした声を上げる。


「それに僕達一緒に寝た仲だし?ね?」

冴を見てクスリと笑う沖田。

「…はい」


「お、おい!そりゃどういう事だぁ!」

小さく応えた冴に大声を出す永倉。


「落ち着け、新八」

原田が嗜めるように永倉に声をかける。


「…同じ部屋で3人布団を並べて寝ただけだ」

目を伏せながら永倉に応える斎藤。


「…。俺も行きゃあよかったぜ」

「黙ってろって」

肩を落とす永倉に溜め息混じりに原田が呟いた。





少しの間があり、口を開いたのは山南だった。


「土方くん。ここは沖田くんに任せてもいいのではないですか?
松原くんもいきなり見知らぬ誰かと二人でいるよりは沖田くんや斎藤くんの方が適任だと思いますし」

「まあ、僕の小姓ってことでいいんじゃないです?そしたら稽古の時でも僕についてくればおかしくないでしょ?」

沖田はどこか楽しげに冴を見ながら、土方に目線を移す。


「…そう…だな。じゃあ、松原は一番組だな。…まあ、大丈夫だろう。
何かあれば必ず俺に相談や報告をしろ」

眉根を寄せながら伏せた目を開き、冴を見据える。

「はい」

土方を見つめ、力強く応えた。


「じゃあ、そういうわけだ。皆、頼む」

土方の言葉に立ち上がろうとする幹部たち。


「あのっ…!」

「何だ?」

大きく声をあげた冴に土方の凛とした声が応える。


「松原…忠司!壬生浪士組のため、尽くさせていただきます!…よろしくお願いしますっ!」

手をつき、深々と頭を下げた。


「…せいぜい、頑張るんだな」

小さく溜め息をついた土方が冴に言葉を投げた。





廊下に出た冴を待っていたのは沖田だった。


「さ。部屋に行こうか」

「はい」

廊下を歩く二人。



『立派なお屋敷』

冴はキョロキョロと見回した。



「ちゃんと話せてたじゃない」

口元にうっすら笑みを浮かべた沖田が冴に横目で視線を送る。

「…よかったぁ…」

小さく胸を撫で下ろす冴。




「ここだよ。入って」

沖田に続いて部屋に入った冴。

胡坐をかく沖田の前に正座する。


「僕の部屋を使わせてあげるんだから、それなりに僕の世話もして欲しい」

「…はい」


「あと、他の隊士とも同じように飯の用意や雑用も」

「…わかった」

冴の言葉に眉を上げる沖田。


「…あとね、一番組の組長って僕だから。あの場にいたの全員幹部ね。
君は平隊士なんだから会話は敬語だよ?」

「…わかりました。あ、じゃあ私も幹部になったら敬語は使わなくていい…んですかね?」

冴は上目遣いで沖田に窺う。

その問いに鼻で笑う沖田。

「同じ組長にならいいんじゃない?君ってほんと図々しいっていうか、ふてぶてしいというか。
近藤さんも何で君を気にいっちゃったのかな?」

軽く眉根を寄せて口角を上げた。



「よろしく、忠司くん?」

「よろしくお願いします」

冴は深々と頭を下げた。



「じゃあ。まずは…そのざんばら頭を整えようか」

軽く溜め息を吐きながら冴を見やる。

「はぁ…」

「縁側出よう」

障子戸を開ける。



「これ自分で切ったの?」

冴を座らせて、髪を一房指に絡ませる。


「はい、適当に」

「だろうね」

傍でしゃがむ沖田。持つ剃刀に視線を向けたかと思えば冴の顔を覗き込む。


至近距離で目が会う二人。


「…ねぇ、この剃刀で君は今、僕に首を掻っ切られるかもしれないよ?どうする?」

「…困ります」

冴は目を逸らさず、沖田を見つめ応える。


「…何で?」

「まだ近藤さんのお役に立ててませんから」

「…へぇ」

揺るぎない冴の瞳と言葉に沖田は眉を上げ、口角を上げた。











◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





何で、ザッキではなく、島田さんを使ったか。


ザッキ、この頃まだ入隊してないんですよ・°・(ノД`)・°・


残念。。。w





今回、今までより行間を意識して空けているのですが、

見やすくなっていますでしょうか?


お話を始めると諸々が不安になりますw



沢山のコメ、ペタが支えになってます。


本当にありがとうございますm(_ _ )m







みふゆ