薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第4話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


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第1話はこちらから → 








いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。




















「最初に斎藤さんが入って、次に私、で、最後は沖田さんがいいと思う」

「あのね…」

冴の言葉に沖田は呆れ気味に声を零した。


「…。でも…見張るんでしょ?湯上りに見張りは寒いし…」

眉根を寄せて沖田を見つめる。


「俺は構わん」

「一君はそうだろうね。わかったよ。君の後に入ってあげる」

「ありがと」

斎藤と沖田のやりとりに自然と笑みを零した冴。



『人がいるっていいな…』

冴は静かに笑みを浮かべた。







「ねえ?」

斎藤が風呂へ向かった後、沖田が冴に声をかけた。


「はい」

「僕達に迷惑かけてでも壬生浪士組に入りたいって思ってる?」

「…どう…かな。まだよくわかんなくて」

沖田から視線を外して少し俯く。


「きっと君が思うより辛いことの方が多いよ?君を女ってことで馬鹿にしたり襲う奴も出てくるだろうし。何より任務は人斬りだし」

冴を見据えながら言葉を投げる。


「…そう…だね」

「…でも…近藤さんは…私を必要として下さっている…んですよね?」

沖田に視線を戻し、見つめる。


「…。…みたいだね」

今度は沖田が目を反らし、呟いた。





「先に貰った」

斎藤が冴に伝える。

「じゃあ次貰うね」

「うん、覗いたりするけど気にしないでね」

沖田が満面の笑みで冴に言葉を投げる。


「っ!!…いってきます」

みるみる顔を赤らめる冴をくすくすと笑う沖田は見送る。




「さてと。じゃあ覗いてくるね?一君も来る?」

「…人を馬鹿にするな」

立ち上がり流し目で口角を上げる沖田を斎藤は睨みつけた。






「…沖田さん?」

「うん、いるよ。見てはいないから気にしないで」

冴の呟いた声に壁にもたれながら沖田は応える。


「…沖田さんは何の為に…壬生浪士組にいるの?」

湯船に浸かる冴が沖田に問いかけた。


「さあ、人が斬れるからとか?」

「…」


「…冗談。あの場所が…僕を必要としてくれているからだよ」

沖田は暗闇に溶け込、風に揺れる木々に視線を送る。

「…そう」

風呂場を灯している揺れる灯りを見つめる冴。






「…コレ何?」

眉間に皺を寄せて呆れたような表情を浮かべた。


目の前には布団が3つ並べられていた。


「様々な状況を考慮した結果だ」

斎藤の言葉に目だけを向ける。


「…君はどこに寝るの?」

溜め息まじりに冴に問う。

「…真ん中だって」

少し困惑した表情を浮かべていた。

「一君てさ、変なとこ強引だよね」

沖田は目を伏せて口角をあげた。




3人はそれぞれ布団に入る。


「…まさか川の字で寝るとは思わなかったよ」

「君も今日出会った男とこうして川の字で寝るなんて夢にも思ってなかったよね。物凄く滑稽だね」

沖田は腕を立て掌に頭を乗せて、隣の冴に身体を向ける。


「…うん」

「ねえ、襲われるなら僕と一君、どっちがいい?」

クスクス笑いながら冴に問う。

「…?!…あの…よく…わかんない…んだけど…」

目を見開いたかと思えば、顔を赤らめ掛け布団を深く被っていった。

「あれ、布団被っちゃったね」

楽しげに笑う沖田。


「…総司、馬鹿なことを言ってないで早く寝ろ」

「はいはい。おやすみ」

斎藤の言葉に沖田も布団を被る。


「…おやすみなさい」

冴は小さく呟いた。






『今日は本当に色んなことがあった』


『色んな人に出会って、沢山話せた…』


『…壬生浪士組…。私は…どうしたいんだろう…』


天井を見つめながら今日を振り返り、自分に問う。


しかし両側から聞こえてくる寝息が心地よく、冴もいつの間にか寝ていた。







「あ…。起こした?」

「何をしている?」

お勝手に向かおうとしている時に斎藤に声をかけられる冴。


「朝餉の準備しようと思って」

「…俺も手伝う」

「うん、見張るんでしょ?簡単に握り飯と味噌汁にしようかと思ってて。早くに出るよね?」

「ああ、そのつもりだ」

「じゃあ、先に顔でも洗いに行こうか」




冴は顔を洗った斎藤に手ぬぐいを差し出す。


「…答えは出たのか?」

「…うん。…行かない」

斎藤の問いに目を伏せがちにして小さく答える冴。


「そうか。…あんたが出した答えならそれが正しい」

「…うん。ありがとう…ございました」

淡々と伝える斎藤に冴は頭を少し下げた。





「へえ、入らないんだ」

朝餉を取りながら冴の意思に眉を上げた沖田。


「…はい」

「僕は入ると思ったんだけどな。ま、キミが決めたことだしね」

口元に少しの笑みを浮かべて、冴を見つめた。





山の麓まで来た三人。


「じゃあ、ここまででいいよ」

「いきなりおしかけてすまなかった」

「いえ…。お気をつけて…」

軽く頭を下げた冴は二人の後ろ姿を見送る。




柔らかな春の日差しの中、

少し冷たい風が頬を掠める。


心の中に残ったモヤモヤとした感情のことは考えないようにした。