田村明さんの市民政府     | まちづくりの将来

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田村明さんの「市民」とは何か

その企画の協議に参加した。

NPO法人田村明記念まちづくり研究会メンバー3名に大学院生と韓国とドイツの研究者の6名。

私はNPO法人のメンバーとして参加。

協議はJR桜木町駅近くの横浜市役所会議室。

16時から18時過ぎまでのフリートーキングだった。

 

 

田村明さんに出会ったのは私が29歳の年。

新宿三井ビルの総合研究開発機構。

法政大学教授に就任される半年前だったが、毎週談笑の機会があった。

私が日本都市センター研究室に戻った後は、私の企画の自主研究に参加してもらった。

テーマは自治体の土地政策だった。

それから田村さんが亡くなるまでお付き合いをいただいた。

 

 

市民、住民は自治体の地域政策、都市政策の名宛。

市民、住民のために地域政策を研究しその実現の途を模索する。

私たちも田村さんもそれは同じだと思っている。

 

 

田村さんの「市民の政府」の論文を読んだ。

その読みからえぐり出したことは2つ。

1つは自治体職員は市民に所有されるものだということ。

もう1つは市民の政府の実現は制度改正ではなく、自治体職員が学び、変わることからしか実現できない。

 

 

この論文は地方自治職員研修の月刊誌であり、2008年4月に刊行されている。

地方分権一括法が施行され、地方分権が定着するかに見えたころの時期だった。

市民の政府を実現できる運動をしかけているといってよい。

 

 

田村明さんは都市自治を実践者だった。

1960年代から10年の時期に横浜市を大きく変えた。

それまでの東京の郊外から都市ヨコハマへの実現の途を創り上げた。

成果は現在でも生じている。

 

 

この論文は田村明さんにとっての「まちづくり」を語っている。

自治体職員は公務員制度以前に市民の所有なのだ。

パブリックサーバント(公僕)とは市民の所有物だという認識がいる。

そんな指摘を確認・評価したい。

 

 

先にふれた市民の政府は分権制度によって創られるものではなく、市民の所有物と認識している自治体職員がそのような行動をとることによってはじめて市民の政府が実現する。

檄文でもある。

 

 

わずか2頁半の論文を6人はそう読んだ。

2010年1月に84歳6か月にこの世を去った田村明さんの市民政府を考える。

これらかも1月2回の勉強会を続ける。

そんな約束をして、私たちは横浜市役所をあとにした。