終戦直後に町内会が廃止された。
敗戦後の占領時代は事実上の相互扶助の仕組みとして残った。
そして、町内会は復活した。
戦後社会における事実上の機能が評価されたものというのが定説である。
だが、この10年の町内会との関係においてその評価がわからなくなった。
子どもの頃、父が谷郷町町内会の庶務を担当していた。
町内の班長さん宅に回覧資料を持っていく手伝いをしていた。
町内会によって町内の行事が動いていた。
だが、佐世保に帰って、そのイメージが追えない。
輪番の町内会役員を見ていた。
高木鉦作先生は地方自治と行政学の専門家である。
2000年6月に逝去された。
その著作は『町内会廃止と「新生活共同体の形成」』を國學院法学で連載された。
1980年代半ばから10年ほどに及ぶ22の論文だった。
私は時折先生からその抜刷をいただいていた。
東京市政調査会副理事長をされた田邊正義先生からいただいた資料を追いかけているといわれた。
学生時代から町内会等の地域社会のことを教えていただいていた。。
また、アメリカの行政サービス状況(子どものバス通学等)の翻訳指導も受けたていた。
だから、地域社会や町内会のことは私の専門領域だと思っていた。
年に何回か先生に会う機会があり、論文の抜刷をいただいたことも少なくなかった。
先生には私が作新学院大学の行政学担当教員になることを伝えていた。
亡くなった後に、同じ書名で東京大学出版会から出版された。
1000頁を超える図書になっていた。
行政学、社会学のリーダーの西尾勝さんや倉沢進さんなどのご尽力で東京市政調査会との関係もあって、
町内会研究の金字塔として世に出された。
先生が亡くなった後にそんな大著が出版があることを知らなかった。
当時、國學院法学を出す法学部副手さんも困惑していた。
それ以降も町内会実態調査に参加したが、この図書にアプローチしてこなかった。
いま、あらためて高木先生の図書を読みたい。
佐世保市での町内会との関係を経験することなかで、もう一度戦後の「生活共同体の形成」の要素を学びたい。
そんな思いになった。
それで5月9日(木)、國學院大學に國學院法学に掲載された高木先生の論文を読む方法をメールで尋ねた。
先ほど、メールの返信があった。
大学紀要の論文のことではなく、東京大学出版会の著書のことだった。
大学図書館が利用できるという。
大学からは日曜日を除いて、9時から22時まで開館していると伝えられた。