「落ち葉の片づけをしてほしいね」
「そうですか」
「以前はシルバー人材センターがやっていのにね」
「そうなんですか」
「今度、墓の管理費が上がると通知がきたね」
「そうなんですか」
「年はいくつですか。私の方が若いかな」
「そうですか」
年末の墓掃除。
墓苑で見知らぬ人との会話である。
その老人1人が私を見つけて声をかけてきた。
はっきり言ってどうでもいい会話である。
年齢は私より1つ上だった。
年齢によって男は語り方が変わるものだ。
12月27日(水)15時近い頃だった。
喪中で正月祝はしないが、1月7日は母の一周忌。
参加者で墓に参る。
そのための掃除でもある。
妹と一緒に墓掃除となった。
真言宗浄漸寺の墓地。
場所は三川内。
この墓地には30余年前に墓石を建てた。
どんな宗派も受け入れるという。
それで墓地を購入し父と私の水子を弔ってきた。
母と寺が別だと不便という理由で,墓苑のある寺に移った。
母が亡くなる4か月ほど前のこと。
前の寺を離檀し、この寺の檀家になった。
母の骨を納め、年が明けると一周忌になる。
どこの家でもある寺と墓が一体という条件になった。
墓のまわりの小さな草を取り、未生で千両の木を剪定し定造花を代える。
墓を洗い、終わりには線香をあげた。
年末なのに暖かい。
コートがいらないのだ。
冒頭の1つ年上の人。
1人での墓掃除らしい。
誰かと話したい気分になったのだろう。
宇久出身で崎辺に住んでいると自己紹介をしていた。
島は真言宗が多いと聞いたことがある。
老人は先に帰ると近くまで挨拶に来られた。