***「よかった。いっちゃん来てくれて」
校舎の陰に隠れて***は笑顔で言った。
「あんな大胆に告られたらな・・・」
***「だって。いっちゃんじゃなきゃ嫌だったんだもん」
頬を膨らませて拗ねたようなしぐさを見せる***を俺はそっと抱きしめた。
「キスなんかさせやがって」
***「あれは!」
急に顔色を変えた***に俺はそっと口づけた。
「とりあえず、消毒」
俺が怒っていないとわかると***はほっとしたように笑った。
***「いっちゃん。ごめんね」
「もういいよ。見てれば事故だってわかった・・・」
ポンッと気にするなという気持ちを込めて、俺は頭に手を乗せた。
「でも、次は許さねーからな」
***「わかってるよ。こんなことそんな頻繁に起こったら大変だよ」
「まーな」
頻繁に起こりそうな気もしないでもないが・・・・。
放送「最後の競技、リレーに出場される方は集まって下さい」
俺が出場するリレーの集合を知らせるアナウンスが流れると、名残惜しそうに***が俺の体操着の裾を引っ張る。
***「・・・いっちゃん。がんばってね」
「ああ。行ってくる。・・・その前にもう一回消毒」
チュッと軽くキスすると、へへっとうれしそうに顔を歪めた。
「・・・その顔、誰にも見せんなよ」
***「へっ?」
間の抜けた返事に、俺は「バーカ」というと、
「かわいすぎて変な虫がよってくるからな」
***「いっちゃん!」
顔を真っ赤にした***を残して集合場所へ行こうと足を一歩踏み出した。
「・・あ!約束忘れんなよ」
***「え?」
「なんでも言うこと聞けよな!」
***「いっちゃん!」
旅行のことはとりあえずリレーが終わったら打ち明けよう。
約束は守ってもらわないと・・・。
俺はにやける頬を両手で挟むと、リレーの集合場所に向かった。