「一護、あんた夏休み何も予定なかったわよね?」
体育祭が終わって1か月後には夏休み。
2か月後の予定なんか決まっていない。
ただ、いつものように***と会ったり、いつものメンバーでワイワイやって過ごすんだろうと思っている。
「ないけど」
「懸賞で海辺にあるペンションの2泊3日ペアチケットあたったんだけど、一護行く?」
ピラピラと当選と書かれた封筒を振る。
海・・・。
2泊3日・・・。
ペアチケット・・・。
「行く!」
母さんの手からチケットを奪い取る。
「あげるけど、その代り、夏休みは1か月ただ働きだからねー」
「わかった、わかった」
「***ちゃん、一緒に行ってくれるといいわねー」
「うるせーよ」
母さんが出て行ったドアに向かって言葉を投げつけた。
「ラッキー」
当選の封筒を電気にかざす。
「さて、***を連れて行くにはどうするか・・・」
あいつのことだから、二人だとわかるとみんなで行こうとか言いかねない。
ペアチケットだというのに。
何かないか・・・と考えを巡らせると、一つ思いついた。
「しょうがねーけど、多少の我慢は必要か・・・」
夏休みのことを考えたら、体育祭のことは我慢するか。
あいつのことだから、すんなり引っかかってくれるはず。
そう思ったと同時に、下から声が聞こえた。
「おばさん、いっちゃんいますか?」
やっと俺が怒っている理由がわかったのだろう。
階段を上る音が近づいてくる。
思わずにやけてしまう。
ちょっと驚かせてやろうか。
ドアの外の「よしっ」の声が聞こえた瞬間、俺はドアを開け、***の腕をつかんで部屋へと引き入れた。