「***ちゃん、大丈夫―?」
小声でひそひそと話す俺たちの声が聞こえているのか、
ドアの向こうから理人の邪魔が入る。
「だ・大丈夫だよ!」
大声で返事をして、ドアに手を差し伸べようとする***の手をつかむと、耳元で
「なんでも言うこと聞けよ・・・」
囁くと、耳まで赤く染まる。
それがかわいくて
「何想像してるんだよ。・・・すけべ」
さらに囁くと、俺はドアを開けた。
「@@。大丈夫?」
ハルの問いかけに***が顔を上げる。
「・・・っていうか、いっちゃん、***ちゃんに何したのさ。そんなに真っ赤になるようなこと」
理人が呆れてため息をつく。
「一護・・・。エロ」
その一言を言うと剛史はまた漫画に目を落とす。
「うるせーよ、剛史」
リュウ兄が俺を指さし、
「ダメだぞ、一護。不純異性交遊は!」
「不純じゃねーし」
「おおぅ。純粋か!・・・ならいいのか?」
「リュウ兄・・・。ダメだって」
ハルに突っ込まれている。
とりあえず、話題がそらせてよかった。
こいつら、無駄に勘がいい時があるから、気をつけないと。
「でも、一護、来週から二人三脚の練習始まるけど、本当にいいんだよね?」
ハルが確認を入れる。
「・・・はっ?許したのは当日だけだ。練習なんてさせねーから」
「いくらなんでもそれは・・・」
ハルが呆れたようにため息をつく。
「練習は俺とするからいいよ」
「それは何の練習にもならない・・・」
会話なんか聞いていないと思っていた剛史が漫画を読みながら突っ込む。
「・・・とにかく、許したのは当日だけだ!」
ハルと***が困ったなーという顔をする。
「それでもだいぶ譲歩したんだ!これ以上許せるか!」
「れ・練習しなくても、きっとなんとかなるよ。ハル君」
***がハルに向かって言うと、
「そうだといいんだけど・・・」
「ハル君かわいそうじゃん。いっちゃんももうちょっと心広くすればいいのに」
「うるせーよ、理人!」
こんな会話が何回も繰り返されて、時間が過ぎていく。
当日だけの我慢と言い聞かせて、俺は家に帰った。