二人三脚なんてやめさせればよかった。
旅行のためとはいえ、こんなことになるなら。
二人の一着を知らせるアナウンスに二人三脚が終わったことを知る。
二人を見たくなくて、教室に一旦戻っていた俺は***のところに行こうと教室の窓から***の居場所を探した。
校庭の隅でハルとうれしそうに喜んでいる姿がすぐに目に入った。
「ったく。あんなに喜びやがって」
うれしそうな***の顔を見るのは嫌いじゃない。
ただし、俺に向けられた笑顔限定で。
二人三脚も終わったし、後は、何でも言うことを聞いてもらわないと。
ニヤけた笑いが思わずこぼれてしまう。
手を振ろうと右手を肩まで上げた瞬間。
ハルと***の顔が重なった。
一瞬でパッと離れたが確かに触れたように見えた。
「まさか・・・な」
遠目でみたことが信じられなくて、必死で首を振った。
でも、遠目からでもわかる***の口を押えながら真っ赤になった顔がキスしたことを肯定しているようだった。
「・・・マジかよ」
俺はこぶしを痛いくらいに握りしめる。
ハルが何度も何度も頭を下げて、***はその度にブンブンと首を横に振る。
突然のアクシデントに俺の頭は真っ白になった。
***はハッとしたように俺のほうへ泣きそうな顔を向ける。
「・・・***」
離れた俺と目が合う。
ハルも***の視線に気づいたのか、後ろを振り返り、***の視線の先にいる俺と目が合う。
放送「借り物競争に出る方は集まってください」
その放送にクラスの女に引っ張られて***が連れて行かれた。
俺のほうをチラチラと見ながら、今にも泣きだしそうなその顔に、俺はその場にしゃがみ込んだ。
「・・・くそっ」
持っていたタオルを床に投げつけた。
明らかに事故のようだった・・・。
二人が悪いわけじゃない。
事故だ。
事故だったんだ。
そう思おうと俺はきつくきつく目を閉じた。