以前の投稿で400mハードルの世界陸上銅メダリストである為末大さんのYouTubeのチャンネルを紹介しました。更新頻度も高く、様々な角度からいろいろな分析をされており、自身も非常に参考になると感じています。

 

※2分55秒過ぎ

 

『蹴らない走り方』ということで、1か月ほど前にこの動画がアップされています。現在ではこの考え方は短距離、長距離を問わず、陸上競技の常識となっているといっていいと思います。

 

数十年前には地面を蹴って前に進むことは半ば常識であったといえますが、正反対の考え方に変わったのは不思議な気がします。なぜ蹴ってはいけないのか?この動画の中で為末さんが説明されています。簡単にいえば地面を蹴っても前に進む力にはならないということになります。

 

この動きを習得するドリルが紹介されています。具体的には体が倒れる前に、倒れた体を自分の足が拾っていくということになりますが、2つのドリルが紹介されています。

 

 

 

私自身は上体が倒れ込むと自然に脚が前に出るという考え方には疑問を持っています。為末大学の前半で紹介されているドリルについては、以前指導していた陸上少年団の練習でも取り入れていたものに非常に近いです。この動画は後半の踏込み部分だけを意識したものです。(実際は為末さん同様に片脚立ちから踏み込んで行っていました)

 

一方、為末さんは動画の中で、『振り子なので、片方の足が止まると、もう片方がブンと前に走ります。実はこの仕組みが、着地した時に、逆の足をポンと前に出すエネルギーとなって、それを繰り返すのが「走り」という行為になります。』という説明がされていますが、振り子の動きに例えられています。

 

現象としては一緒ですが、私の考えでは踏み込みと同時に脱力することで、反対脚が意識せずとも自然に前に出ることを意図していました。振り子の動きではなく反射動作ということになります。意識の問題になるということになりますが、動きとしては同じだと思っています。

 

ただ、『地面を蹴らない走り方』については全く同感です。市民ランナーの方でもかなりの割合で、地面を蹴る動きをされているのを確認することができます。

 

 

 

シューズの減り方については、以前の投稿でも考察しています。シューズのつま先部分が大きく減っている方は、このドリルを試してみるとよいと思います。

 

 

 

足を踏み込むことで、地面を後方へ蹴る動きがかなり抑えられると思います。脚を後ろに引くのではなく、前に押し込む動きになります。以前の投稿でも触れた『前スライド走法』にもつながる動きです。

 

地面を蹴っても前に進む力にはなりません。いわゆる空振りをしているようなものです。効率よく走るために、シューズのつま先ができるだけ減らない走りを目指したいものです。