最近、ある友人とのお付き合いが終了した。
アメリカに来て初めて仕事をした会社で知り合った女性で、もう20年来の親友だった。
価値観が似ていて気が合うし、何をしてもとても楽しかったしおしゃべりも尽きなかった。
彼女は独身で私たち夫婦も子供がいないのもあり、近くに家族もいない海外生活では、夫も含め家族のようなお付き合いが心強くとても心地よかった。
私はコロナが流行り出す半年ほど前に仕事を辞めた。
当初はまた別の仕事を探そうと思っていたが、まもなくパンデミックが起きたことで、夫と話し合って予定より早めのリタイアを決めた。
その頃からだろうか。何となくしっくり来ない時があり、彼女の態度や言葉で不快になることが多くなった。
「社会から置いていかれるよ」
「ダンナがいるからいいよね」
「子供もいないのに専業主婦する意味ある?」
「毎日家で何かすることがあるの?」
「日本人の考え方が嫌いだから帰国はしたくない」
どれも何気ない会話の一部ではあったが、積み重なるうちに自分の暮らしや考え方が否定されているように感じるようになった。
特に私たち夫婦には日本移住はとても楽しみであったが、以前のように自然に話せなくなっていた。
第一、私は日本人だし日本人の物事に対して誠実なところも、何でも取り入れるちょっといい加減な文化も大好きである。
周囲の目を気にしすぎてどうの…という言い方もだが、私には周囲と調和しながら生活できる国民性なのだと思えるのである。
国外に出て初めて気付いたことではあるが、法律内なら何をしてもOKというアメリカとは一線を画した日本人の生活ぶりは
多民族国家では成立し得ない、素晴らしく成熟した「文化」だと感じている。
海外で生活したことで「日本人」の良さを知ることとなり、自分の中から失わないよう気をつけているくらいなのに
「日本人の考え方が嫌い」という言葉は、私にとっては少し衝撃だった。
また、収入面でも遊ぶお金を増やしたいと2ジョブをしている彼女には、夫の収入に頼る私の暮らし方そのものが、理解し難いものだったのかもしれない。
買い物や食事に一緒に出掛けた場面で、私が値段を見て少し迷ったりすれば
「〇〇(私)ちゃんが稼いだお金じゃないからね」
彼女なりの冗談かもしれないが、チクっと釘を刺してくるのである![]()
ちなみに我が家は、私が正社員で働いていた時も、退職した今も、お財布は一緒で私が管理している。
いわゆるアメリカ人家庭の夫婦別々の財布ではなく、昭和の日本家庭方式である。
なので夫の方はお金に関してはいつも呑気だし、私が仕事を辞めた後も
「君に家事を任せている分は僕のお給料に入っているんだよ、好きなものを自由に買ってね![]()
」
と言ってくれるのでお陰様で安心して生活できている。
だからと言ってうちは普通の中流家庭なので、好きなものを何でも買えるわけではないのだが(笑) そう思ってくれる夫には感謝しかない
でもこんなこと、やっぱり彼女には口が裂けても言えないのである。
ある日、買物帰りにキャリーカートがマンションの重いセキュリティドアにひっかかって転んでしまった。すると、
「人が通るよ!」
と、その場でモタついた私に面倒な顔をして手も貸してくれなかったのだなぁ…
足を軽く捻挫したようだったが立ち上がり、散乱した物を拾って家まで帰ったが、たぶんその時が限界だった。
家に着いて、ガラス瓶が割れなくて良かったと思いながら買物の片付けを始めたら、足の痛みと心の痛みで涙がこぼれた。
その夜、私の様子に気付いた夫が、彼女に「最近 妻は君と会った後に体調を崩している。何かあったのでしょうか?」と勝手にメールを送ってしまった。
私はそれまで夫と彼女の関係が悪くなるのは嫌だったので、彼女とのネガティブな気持ちを夫に話したことは一度も無かったのだが
何か彼なりに気付いたことがあったようだった。
そもそも本人同士の問題であり、夫が直接連絡を取るのは望ましくなかったが、夫の指摘もまったく的外れでも無かったので、余計に悔しくて悲しくなった。
その夜、彼女から夫にひどいことを言われたとメッセージが来た。
「私たちに問題なんて無いよね?」という問いかけに、私は初めて、彼女の言動に傷つくことがあった…とやんわり伝えた。すると、
「それは申し訳ありませんでしたね、気が付かなかったです」
と何ともそっけない返事が送られてきて、それ以来、毎週のように会っていた彼女からの連絡はプツッと途絶えた。
何が原因だったの?どんなことで傷つけてしまったの?と聞いてくれると信じていた私もおめでたかったのかもしれないが
彼女自身が自分の言動に思い当たることもなく、気にもかけていないことには少し驚いた。
きっと関係を改善したいという気持ちさえも残っていなかったのだろう。
もちろん、私にも反省点はある。
違和感を覚えながらもその都度向き合わず、曖昧にやり過ごしてしまったことで、関係が崩れるきっかけを作ってしまったのかも知れない。
ただ、もうそれをやり直すことはできない。
なんだかあっけないなぁ![]()
誰かが「人生のステージが変われば求める関係性も変わる」と言っていたのを思い出した。
状況や価値観が変われば距離が出来てしまうのは自然なことなのかも知れない。
一生お付き合いできるかもと思ったほど良い時を過ごしてきたのに、と未練はタラタラなのであるが
お付き合いが無くなった今、心のザワザワが確実に減って穏やかな日々を過ごしているしたたかな自分もいる。
ご縁が終わって、少し肩の力が抜けたような気がした。
またどこかで、自然と笑える出会いがあればいいな…かなりの時間が経ってしまったが、やっとそんなふうに思えるようになった![]()