「専業作家になってから強烈に…」 仕事小説の作者が経験した働き方とは? .≪続きを読む≫
6月6日(水) 19:30 提供:新刊JP
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『わたし、定時で帰ります。』(朱野帰子著、新潮社刊)はウェブ制作会社を舞台に、リーダーが勝手に進めてしまった無謀なプロジェクトが物語の中心となりつつ、どのように仕事と向き合うかという個々人の苦悩にスポットライトが当てられた新時代の仕事小説だ。……
■「専業作家は孤独。同僚が欲しいし、会社は楽しい」
――結衣の元恋人である同じチームの晃太郎はとにかく仕事一筋タイプで、結果も出せるという優秀なビジネスマンですが、こういうタイプの人が遅くまで職場に残っていると周囲も帰りにくくなるのは「あるある」だなと思いました。
朱野:そうですよね。「代えが効かない人材」がいるのは組織としてはあまり良いことではなくて、業務をナレッジ化して、その席が空いてもすぐに誰かが座れるようにしないといけません。
私が2社目に勤務した会社では、1年に1回必ず一週間休みを取らないといけなかったのですが、その間の業務は他の人に預けることになります。そこで業務のナレッジ化がなされて、個人の業務のブラックボックス化を防いでいたんです。
――すごく良い会社ですね。ただ、休みたがらない人もいるのでは?
朱野:1週間休みを取らなかったら始末書なんですよ。そのくらい徹底されていて、風通しも良かったです。
自分がいないとダメだと思いたい人は多いですよね。私もそうなんですが、就職氷河期世代は特にその傾向が強いように感じます。本当に低い倍率の中で就職先という自分の居場所を勝ち取ったので、手放すものか、と。
また、晃太郎のように、それまで褒めてもらえなかった人が初めて仕事で褒められて、その後も褒められるために仕事を頑張り過ぎてしまうということもあるでしょうし…。
――働き方にはその人の人生と重なるところがありますからね。
朱野:私、会社員時代に「君の働き方はみんなを苦しくする」と言われたことがあるんですよ。求められる以上の品質をアウトプットするように頑張っていたんですけど、それは本当にみんなのためになっていたのか、ただの自己満足だったのではないか、と考えてしまって。私の後を引き継いだ人は、おそらく同じ品質のものをアウトプットするためにはかなりの工数がかかってしまうでしょうし、効率を余計に悪くしているかもしれない。……
――朱野さんは、現在は専業作家でいらっしゃいますが、作家になってからの働き方は変わりましたか?
朱野:2社目で定時に帰る会社を経験したのにも関わらず、作家になってからは逆に強烈な働き方をするようになりました(苦笑)。フリーランスなので、とにかく居場所を確保しないといけない。一度この場所を手放したら二度と戻って来られないという強迫観念があって、自分を追いこんでしまったんです。
でも、疲れた時に書くと必ず後で書きなおすことになりますし、良い商品なんだろう、良い仕事ってなんだろうと考えていくと、わけがわからなくなっちゃうんですよね。……
――では最後に、残業で疲れながらも日々一生懸命働いているビジネスマンの皆様にメッセージをお願いします。
朱野:ぜひ、自分の幸せのために働いて下さい。幸せとは何かということについてはアドラー心理学などの本を参考にしてもらって(笑)、自分を大事にして働いた方が、結局は周囲をも幸せにできるのではないかと思います。
1年に1回必ず一週間休みを取り、その間の業務は他の人に預ける。
なるほど、こうして個人の業務のブラックボックス化を防ぐわけですね。
複数の新たなる視点で、アイデアが生まれたり、業務の効率化もはかれるでしょう。
自分がいなくても回るというのが、いい組織ですよね。
少々淋しさもあると思いますが、その分、プライベートを充実させたり、社会貢献活動をしたり、自分の世界を広げればいいのです。
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