食べ終わった惣菜も返金OK!? ロシアで珍しく真っ当なスーパー「フクースウィル」が急拡大中 ≪続きを読む≫
モスクワで近年急速に知名度をあげているスーパー「フクースウィル」。いまロシアでは日本同様、食品の安全や質に注目が集まっています。いままでのロシアでは高品質な製品は値段も高く、高所得者層のみのものという認識が一般的。しかし、このスーパーはすべての商品を自社ブランド商品にすることで価格を抑え、購入者層も広げました。さらに、ロシア初のサービスの提供で注目度は上昇中。9年間で566店舗にまで急成長したフクースウィルの躍進の秘密に迫ります。
クリーンな品質にこだわる
2009年、「メガポリスに新鮮で安全な食材を」というポリシーで始まったフクースウィル。公式ホームページの最上部には「品質を見極められるあなただけに。そして、ロシアでクリーンなビジネスが可能だと信じていただける方のためだけに」とあります。クリーンなビジネスとは何なのか? そこにはロシア市場の闇が隠れています。
日本ではあまり考えられないかもしれませんが、ロシアでは商品の内容物をカサ増ししたり、中身を変えたりと、販売側が顧客を裏切るような事件が起こっています。ソ連崩壊後、海外との交流が活発になり国民は食や製品の安全、品質の向上を求めてきました。そんななかで、フクースウィルはクリーンなビジネスを追求することで信頼を積み上げていき、2018年で566店舗にまで拡大。日本でのコンビニエンスストアを見かけるかのような頻度で店舗を目にするようになりました。
最初は乳製品のみ取り扱いしていたものが、いまでは加工品や冷凍品、スパイス、化粧品、日用品も販売。それらすべてが自社製品であり、それによってコスト削減もさることながら製品の品質安定にもつながっているようです。
フクースウィルの客層は、ほかのスーパーと少し異なります。通常のスーパーでは主婦のような女性客が主なのに対し、フクースウィルでは筆者が見る限りスーツを着たビジネスマンやビジネスウーマンが多い模様。著者も仕事をしていたときに、ここでよく買い物していましたが、それというのも、いくら仕事が忙しいからといっても、ご飯くらいはしっかり健康に良いものを食べたいと思っていたから。しかし、普通のスーパーでは惣菜に何が入っているのか、この国では誰も分からないのです。
しかし、フクースウィルは違います。例えば、サンドイッチはパンの原材料だけでなく、パンに使われているバターの詳細も記載されているのです。……
また、このスーパーではロシア初の試みを行っています。それはレシートなしでの返金。すべて自社製品なので、レシートがなくとも店側が商品を調べて返金してくれるのです。惣菜は全部食べた後でも、野菜などは調理した後でも、このスーパーは「お客様が気に入らなければ全額返金」してくれるのです。多分そのメリットは、商品改善に欠かせないプライスレスなお客様の声が受け取れるということ。商品改善のヒントになるなら、商品分のお金は返金することさえ厭わないということではないかと思います。
さらに、子どもや子育て世帯への配慮もこのスーパーの特徴。レジには「ベビーカーを押すお母さんは列の最前線へどうぞ!」という看板があり、私もベビーカーを引いていったときは幾度となく列の前へ通してもらいました。また、子ども用の甘さ控えめなお菓子や、モスクワでは珍しいアレルギー対応のお菓子の取り扱いもあり、子どもたちの食の安全に敏感なモスクワの親御さんたちが足しげく通っています。
海外志向の中流層にも大人気
フクースウィルは、いままでモスクワで見られなかった海外ルーツの商品を取り扱っています。例えば、韓国海苔のような味付け海苔やおにぎり、抹茶アイスが購入できる一方、あまりロシアで馴染みがないものは、海外ルーツ商品としてポップで説明をつけており、説明を読むことも可能。近年増えつつある海外志向の中流層や流行に敏感なモスクワっ子たちの間でこのアプローチは大好評です。
顧客目線のサービスを提供することで大成功を収めたフクースウィル。顧客に最大限寄り添うその手法は、日本でも再認識すべきビジネスの原点を思い起こさせてくれるように思えてなりません。
日本にも、フクースウィルスタイルのスーパーの出現を待望します!
サンドイッチには、バターの原材料の詳細も記載されるなんて、感動的。
日本では「卵ファイリング」などと記載されていて、何が入っているかわからないので、私は買えない……。
スーパーに限らず、顧客目線のサービスを提供することで大成功したフクースウィルに学ぶところは多々ありそうですね。
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