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「『もの忘れ外来』は……ほとんどはお年寄りでした。それが最近、30〜50代の働き盛りの若い世代の来院者が目立って増えてきているのです」
こう語るのは、毎日100人以上が来院する、岐阜県「おくむらメモリークリニック」の「もの忘れ外来」で、これまでに10万人以上の脳を検診してきた院長の奥村歩先生。その“異変”に気付いたのは5年ほど前のことだった。……
「しかし私が診断した結果、それらはアルツハイマー病などの認知症の症状ではありませんでした。……」
だが、診療を続けていくと、彼らにはある共通点があったのだ。
「患者さんたちの多くが、スマートフォン、パソコン、タブレットなどのIT機器を絶えず使用しているような生活を送っていました。またMRIなどで調べたところ、前頭前野がフリーズした状態になっている患者さんも多かったのです」
前頭前野は、思考・運動・創造などをつかさどる、いわば脳全体の司令塔だ。
「脳に入ってくるさまざまな情報は、前頭前野で処理されます。この部分がフリーズしてしまったのは、過剰な情報のため脳がオーバーワークで疲弊した状態“脳過労”になったからなのです」 ……
「前頭前野内で情報処理をする際には、大きく分けて次の3つの機能があります。
1.浅く考える機能(ワーキングメモリー)、
2.深く考える機能(前頭前野の熟考機能)、
3.ぼんやりと考える機能(デフォルトモード・ネットワーク)です。
私たちが考えたり判断したりする際には、1の浅く考える機能と、2の深く考える機能をバランスよく使わなければいけません。
しかし先ほど述べたスマホなどのIT機器のヘビーユーザーたちは、それが非常にバランスが悪い状態にある人が多いのです」
なぜスマホを過度に使用すると、脳過労になったり、思考のバランスが悪い状態に陥ったりするのか?
「…… 要するにインプットばかり多くて、ろくにアウトプットしていない状態なので、これでは脳にゴミをため込んでいるようなものです。
いざ必要な情報があっても、雑然としすぎているために、見つけることができず、『思い出せない』ということになります。
これは脳のコンディションとしては、とても不健康な状態です」
…… 奥村先生はこの状況を非常に憂慮しており、「スマホ認知症」という言葉を提唱するようになった。
「大事なのは、スマホなどから放出される大量の情報に流されるのではなく、自分でコントロールできるようになることです。
情報の出入りを自分で意識的にコントロールし、自分の健康を守る必要があります」
日常生活でできる具体的な方法とはーー。そこで、奥村先生がスマホ認知症を防ぐ習慣を教えてくれた。
【1】デジタル・デトックスを試みる
「…… できそうなところから、スマホを手放してみて、少しずつ『離れている時間』を増やしていきましょう」
【2】「すぐに検索」をやめる
「……“思い出す力”が落ちてしまい、脳は老化するいっぽうです。私は、ネットで検索する前に1分ほど自分の頭で考えることを心がけています」
【3】ネットで調べ物をしたときは、手書きでメモをとる
「…… ネットで調べ物をするときは、手書きでメモをとりましょう。そのひと手間を加えるだけで、脳にもたらす刺激はぐっと大きくなります」
【4】1日5分、ぼんやりする時間を持つ
「デフォルトモード・ネットワーク=ぼんやりと考える機能は、私たちの脳の健康を維持するために欠かせないものです。
この機能は人間だけが持っているもので、『自分らしさとは何か』『明日自身が進歩するためにはどうしたらいいのか』など、人間の本質にかかわってきます。
ぼんやりする時間は、無駄な時間ではなく、とても貴重な時間です」……
子どもの頃、勉強する時間はもったいないけど、ぼーっとする時間はもったいないとは思わなかった私。
その思考経路は、ある意味、正解だったわけですね。(笑)
なるほど、今は意識的に脳の健康を維持しなければならない時代。
私も含め、メモだってコピペか写メですませている人は多いでしょ。
そして、何かあると、すぐ検索しますよね。
便利なスマホは、諸刃の剣。
皆さんや皆さんの周りの人がスマホ認知症にならないように気をつけていきましょう。
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