<提供:太田出版ケトルニュース>
人工知能が盛んに注目を浴びるいま、人間はロボットに何を求めているのでしょうか。
過去のSF作品などの影響なのか、「ロボット=完璧で、人間よりも優れた賢い存在」だという先入観を抱く人も多いでしょう。
しかし、そんな流れと逆行し、「弱いロボット」の研究を進めているのが豊橋技術科学大学の岡田美智男教授です。
これまでに岡田先生の研究グループが作ってきたのは「モジモジしながらティッシュを配ろうとするロボット」や「子どもに手伝ってもらいながら、ゴミを拾い集めるゴミ箱ロボット」など、我々がイメージする「完璧なロボット」とは程遠いものばかり。
だが、これらのロボットにはある共通点があります。
それは、「さほど高機能ではないものの、他者からの手助けを引き出しながら、結果的に目的を達成してしまう」という点です。
たとえば、先に例に上げた「モジモジしながら……」というロボットは、小さな手をわずかに差し出したり、ひっこめたりする動きが特徴的。
それゆえ、本来の目的である「ティッシュを渡す」という目的を果たそうにも、タイミングが合わず、なかなか相手にティッシュを渡せません。
しかし、そのおぼつかない姿をかわいそうに思うのか、人間が率先してロボットの腕の動きに合わせて手を差し出し、ティッシュを受け取ってくれるようになるのだそうです。
なぜ、あえて機能的には完璧ではない「弱いロボット」を作るのでしょうか?
その理由について、岡田先生はこう語ります。
「私たち人間は他人から手伝ってもらうだけでなく、誰かの手助けになることや一緒になにかを達成することにも喜びを感じる生き物です。……
自信満々な人には、『助けてあげよう』との気持ちが起こらないのと一緒で、あえてロボットを弱い存在にすることで、人間をうまく巻き込み、手伝った人間側も幸せにしながら、目標を達成することができるのです」
優秀で完璧なロボットに一方的に何かをしてもらうという受け身の関係は、我々人間を傲慢なクレーマーに変えてしまう可能性もあるそうです。
人もロボットも、多少ヌケがあるほうが愛されるようです。
「他者からの手助けを引き出しながら、結果的に目的を達成してしまう」。
この論理は、ロボットに限らず、組織でも使えます。
トップ層がやたらしゃかりきになって頑張るより、皆を巻き込んだ方が組織は活性化し、結果的にうまくいくもの。
ヌケがあるからこそ、「助けてあげよう」「力になりたい」という気をそそられ、120%の力を発揮できたりします。
もっとも、そうなるか否かは、日頃の人間関係が左右します。
「この人のためなら」と思われる人柄が大事。
そして、外してはいけないところは外さず、フォローがきくところでヌケがあるのがミソ。
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