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ブームをつくる 人がみずから動く仕組み (集英社新書)/殿村 美樹

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……「ほめてほめてほめまくる」でブームの火をつける
私がやっているPRの仕事で、一番大切なのは「ほめてほめてほめまくる」ことです。
“あなたのやってることはすごいんだよ”って、当事者の皆さんをほめる。
そうやって彼ら自身に動いてもらわなくては、ブームは生まれない。……
私は、もともと地域にあったものに光を当て、その価値に気づいてもらい、人が自ら動きだす仕組みをつくることでブームを作ってきました。
そうして地域の人たちが自信を持って大切に育むから、ブームが続いていく。
「ひこにゃん」も「佐世保バーガー」も「今年の漢字」も、私が火をつけたものは1つも消えていない。……
阪神淡路大震災のとき「自分に何ができるのか」考えた
…… きっかけは阪神淡路大震災です。
私は特に被害の大きかった西宮に住んでいたんですが、もう価値観が180度変わりました。……
西宮で復興活動が始まり、同じマンションに住む人たちを見たら、みんな役に立っているんです。
食料店の人は水や食料をみんなに分けて、主婦の方は縫い物をしたり子どもの面倒をみたりしていた。
でも私は何の役にも立たなかった。……
そしたら、たまたま日本漢字能力検定協会さんから「漢字の復興を手伝って欲しい」と依頼をされた。……
そこから清水寺の貫主さんに「今年の漢字」を書いてもらうという年末の風物詩が生まれた。
予算は9万円。
それでヒットしたものだから、「お金をかけなくてもPRはできる」とわかった。
「今年の漢字」を見て漢検を学ぶ人が増えたり、認知症のおばあさんが元気になったり、そういう人たちの姿も目の当たりにしました。
「ああ、これが私ができることなんだ」と思ったんです。……
明日死ぬかもしれない、やらないで後悔するのは自分だから
…… あのね、一瞬先は闇なんです。
震災も経験した。12年前には大病をしました。……
今こうやって話をしていても、30分後には死んでしまうかもしれない。
そういう危機感がいつもあります。
だから、今が一番大事。
目の前のものを精一杯こなすだけ。……
同じ時間を生きるなら「いいところ」を探して笑っていたい
「ほめてほめてほめまくる」ためにも、私はいつも、人のいいところを見るようにしています。
人間同士、喧嘩もするしどうしても合わない人もいるけど、それでも「いいところ」しか見ないようにする。
これは私の生きる術でもあります。
子ども時代が、あんまり幸せとはいえなかったんですね。……
キャリアを作る上でも「いいところを見る」って、大切だと思います。……
そうやって毎日一生懸命、目の前のことをやっていたら、道って絶対つながっていくものなんですよ。
天職は自分で探し出すものだという考えがありますけど、私は違うと思う。
一生懸命な毎日を積み重ねていったら、社会のほうからオファーが来ますって。
実際、私もそういう経験をしています。
若いころから「もう辞めてやる」と思っているのに、PRこそ天職だと人から言われるようになった。
天職だからって、楽しいとか大好きだって思わないものなんじゃないですか?
なんとなくずっと続いて、なんとなく時間が経って、なんとなく社会が「これがあなたの天職だよ」って教えてくれるんですよ。
「キャリアコンサルタント」の肩書きを持つ私が言うのも何ですが、正直に言って、若いうちからキャリア教育しすぎじゃない?と思うことがありました。
時として「なんとなく」が許されない雰囲気があります。
「自分探し」とか「適職探し」だけでは、何処か片手落ちのような気がしていました。
そんな私は、殿村さんの「なんとなく」という仕事へのあり方に、ほっとする思いを感じました。
そして、「天職」がその字の如く天から授かった職業であれば、楽しいとか大好きというより、大変で苦労もするけどやりがいがある、という感覚なのではないでしょうか。
「天職」は、求めて得られるようなものではないのかもしれません。
目の前のことを一生懸命にやる。
遠回りようでいて、これが「天職」につながる道のような気がします。
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