’78年に「カレーハウスCoCo壱番屋」を創業以来、20年以上増収増益を続け、世界一のカレーチェーンに育て上げた創業者・宗次德二氏。’02年に壱番屋代表取締役会長は退き、「創業者特別顧問」に就任している。……
◆孤児院育ちの少年がカレー屋を創業
――小さい頃から、カレーはお好きだったんですか?
宗次:いえ、うちは貧乏だったので、小さい頃はほとんど食べた記憶はありません。…… 私は孤児院育ちで、いまだに両親も親戚のことも一切知らないんですよ。3歳のときに養父母に引き取られたんですが、養父がギャンブル好きで電気代や水道代も払えないような貧乏家族で。しかも、途中で養父に愛想を尽かし、養母も蒸発してしまったので、ご飯はだいたい自分で用意していましたね。
――どんな食事でしたか?
宗次:貧乏なのでお米はなかなか食べられず、メリケン粉を水で溶いたものや雑草を食べて暮らしていました。……
――壮絶な子供時代ですね……。
宗次:アハハ。ただ、私はすごく楽観主義者なので、一度も自分のことを不幸だと思ったことはないんです。今みたいに恵まれた時代でもなかったというのはあるんでしょうが。ただ、当時から「人生はこんなものだから、他人に頼らず、迷惑をかけず、一人でコツコツ生きていこう」と心に決めていて、その姿勢が社長時代に生きた部分もあると思います。
――経営に生きたのはどのような部分でしょうか?
宗次:とにかく私は「人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強かったので、何事も自分で考えて、行動するようになりました。店の経営に関してコンサルタントの先生に相談したことはないし、会費を払ってセミナーに行ったこともないです。「そんな暇があるなら、店舗に行って、お客さまに満足してもらうにはどうしたらいいかを考えるほうが有益だ」と、現場主義をとっていました。
――我流で一生懸命やってきたことがよい結果をもたらした、と。
宗次:はい。今思えば、私の素人考えが当たった部分が多いんですよね。仮に専門家の先生に相談していたら、素人がカレー専門店を出すことはなかったと思いますよ。いまだにいろいろな勉強会で「成功の秘訣」を聞かれますが、私がやってきたことは「目の前のことに一生懸命取り組む」ということの積み重ね。私は凡才な“自称、三流経営者”ですから、逆にそれしかできなかったんです。
――社長になって成功すると、経済人同士の交流を深めたり、遊ぶ方も多いですよね。
宗次:そうなる経営者の方も多くいますが、私は必要ないと思っています。……
――遊びに誘われませんでしたか?
宗次:社長時代は友人を一人もつくりませんでした。友人は“遊人”ですから。当時は土日も休まず、朝4時半に起きて夜まで働く生活をしていたので遊ぶ暇はない。中途半端なお付き合いをするよりは現場に行って、お客さまに「ありがとうございます」と言うほうが楽しかったです。
――豪遊したい、遊びたい、贅沢したいという欲求がないのが、世の大半の社長と宗次さんの大きな違いかもしれないですね。
宗次:僕がほかの人と大きく違うのは「毎日同じ仕事をひたすら続けられる」という点ですね。世の中の8~9割の経営者はある程度ビジネスが軌道に乗ると、がむしゃらには働かなくなる。そして、「経営だけが人生じゃないから」とゴルフや飲み会などの遊びに走る。私みたいに仕事だけをし続ける経営者は1~2割程度。でも、そこまで真剣に打ち込めるかが、事業を拡大できるかどうかの分かれ目だと思います。……
宗次氏のような境遇で生まれ育ち、一度も自分のことを不幸だと思ったことはないというメンタリティは、スゴイですよね。
彼の成功要因の一つに、楽観主義は寄与していると思います。
そして、コンサルやセミナーに頼らない現場第一主義が、従来にない新しい形を生み出したのでしょう。
仕事だけに邁進し得るのも、社長職をさっと譲れるのも、宗次氏ならではのこと。
そうそう真似できるものではないけれど、CoCo壱番屋を作った男の独特な経営哲学は、いろいろと参考になるかと思います。
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