「紙つぶて 作業向きの人間関係」より
先日、『この世にたやすい仕事はない』という本を出版させていただいたので、出版社でサイン本を作っていました。
……空き時間のあった二時間のあいだに五十冊、ということで、会議室をお借りして、一人で描いていたのでした。(*イラストのつきとのことで「描いた」が原文通り)
しかしこれがいっこうに進まないのです。
どうも気が散って、お茶を飲んだり、ぼんやりしたり、少し休もうと音楽を聴き始めたりしてしまいます。
本屋さんで描かせていただく時はもっと早いのですが、その時は三十分経っても十冊しか作れていないという遅さでした。……
一人で淡々と何かの作業をする時に、お目付け役がいるというのは頼もしいものなのです。
それも気が合う人ならしゃべりすぎてしまうし、嫌いな人なら気になるしで、適度に好きでも嫌いでもない人が望ましい。
それって会社の同僚とほとんど同じ距離感の存在なのではないか、とつくづく会社というシステムの合理性に感じ入りました。 (津村記久子=小説家)
この世にたやすい仕事はない/津村 記久子

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以前、電話営業をやっていた時、他社から出向で来ている社員がいました。
私たちと一緒に仕事をしていた時は、そこそこいい結果を出していました。
ところが、自社に戻ったら、さっぱり契約がとれなかった、とのこと。
聞けば、一人しかいない場所で、黙々と架電していたそうです。
その時私は、一人だとモチベーションの維持が大変だろうと思いました。
「お目付け役」というのは、意外と大切な存在かもしれません。
会社というシステムの合理性を再認識してみましょう。
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