……集団を正しく導くためのリーダーシップには、人間が教育され、努力して得る後天的なものが非常に大切です。……
リーダーとして立派な仕事をしようと思うなら、私心を挟まず、人間として正しいことを正しいままに行うことが大事です。……
では、そういった後天的なリーダーシップはどのようにして身につくのでしょうか。
まず言えることは、苦労もせずに楽に、平穏な人生を辿ってきた人では、強い使命感を持ち、自己犠牲を厭わない「無私」の心は築けないことです。
リーダーの立場に就くまでの間に辛酸を嘗め、苦難に耐え、しかも、それをポジティブに、明るく、いい方向にとらえることができ、研鑽を積んできた人こそが、リーダーにふさわしい人間性を身につけることができるのです。
もう一つは、心の中に美しい「善なるもの」をいつも持とうと努力する人間になることです。
私は、人の生きる目的は何においても世のため人のために尽くすことにあると自分に言い聞かせるとともに、リーダーたらんとする人にも常にこのことを話しています。
辛酸を嘗める苦労をしながら美しい心を持った立派な人間性をつくりあげることが大切なのです。……
また、リーダーにはどんな困難に遭遇しようとも、決してあきらめない人、ネバーギブアップを信条とする人でなければならない。
ビジネスでは予想もしない困難やトラブルが起こる。そこで、すぐあきらめてしまうリーダーでは、どんな事業も成功させることはできません。……
ではリーダーを育てるにはどうしたらいいでしょうか。……
いい判断をし、いいことをやれば、「それは非常にいいんじゃありませんか」と褒めるし、ダメなら「それはちょっとおかしんじゃないか」と注意します。
私は幹部を含めた全社員を愛し、みんなを幸せにしてあげたいという思いがあります。
それをベースにしたうえで、幹部には会社に対する大きな責任があるわけですから、その責任に見合う仕事をきちんとやっていなければ、業績報告会の席上などで厳しく叱る。
これは幹部個人の問題ではなく、大きな集団の幸不幸につながることだからです。
それだけにいい加減な考え方、いい加減な仕事ぶりであれば、とてもきつく叱ることがあります。……
叱る基準となるのは、経営者の立場から見ると、その幹部が担当する部門の数字となります。
企業経営を考えると、より多くの売り上げが上がるよう努力する一方で、経費はなるべく少なくしなければならない。
その差し引きしたものが利益です。
そのために売り上げの細かい数字をチェックして、どうして売り上げが増えたのか、または、なぜ売り上げが増えなかったのか、各項目の数字が判断の材料となります。
経費の場合も、どうして経費がこれだけかかったのか、経費項目、いわゆる勘定項目ごとに見ていき、「君はこういう点に、注意が行き届いていないのではないか」「経費がこの期間だけ増えたのは、なぜか」と、売り上げに対する経費の割り合いを比較して問題点を指摘します。
つまり、「売り上げ最大、経費最小」という経営の原則に基づき、仕事をしているかどうかが肝要になってくるのです。……
私はJALにくる以前の京セラ時代から、経営者はパイロットと同じで、企業を経営する操縦士だと言ってきました。
飛行機を操縦するには、自分の目の前に並ぶ計器類が示す数字を細かくチェックすることで、正常に飛んでいるかどうかの判断をしなければならない。
その数字がちょっとでも狂っているだけで、操縦に大きな影響を与えてしまう。
まさに経営もそれと同じで、数字に対する注意力が最も重要です。……
褒めるよりも、叱るほうが難しいとよくいわれますが、私はその点についてはあまり気にかけていません。……
私なら、なぜこんなに厳しく叱ったか、諄々とその理由を言って聞かせ、そして最後に「わかったな、あとは頑張れよ」と必ず言葉をかけます。
そのときに私は、表情を崩し、ニコッとするらしい。
意図してやっているわけではありませんが、多くの人が、その微笑みで、叱られたことの恨みつらみのようなものが全部消えると言ってくれるので、私の微笑みが救いになっているのかもしれません。
それはともかく、上に立つ者は部下たちの幸せを常に心に留めて叱らなければならない。……
叱るべきときは、心を鬼にして叱る、それがリーダーに求められる愛情です。……
厳しく叱る一方で「今日があるのは、みんなが一所懸命にやってくれたおかげだ」という感謝の気持ちを持つことも大事です。
厳しい反面、相手のことを思いやる、人間味のあるリーダーになるように常に心がけていれば、部下は必ずついてきます。……
私は今、81歳ですが、この年になって、真のリーダーはもともと小心者で、苦難に耐え、努力を積み、非常に強い意志力と人間性を持つ人間でなければならないと思うようになりました。
そして真のリーダーには慎重さも大事だと痛感しています。……
マイクロソフト社をつくり、すでにリタイアしてビル&メリング・ゲイツ財団をつくったビル・ゲイツの逸話を描いた本を最近読みましたが、驚いたことに彼は大変な小心者だったようです。……
私も小心者で、会社を潰してしまわないか心配で心配でたまりませんでした。
そして今日まで、これでいいと思ったことは一度たりともありません。
会社を経営して人様からお叱りを受けたことがなったのも、人から指摘を受ける前に先回りをして問題を解決しようとしてきたのがよかったのだと思います。……
詳しくは、こちら↓
PRESIDENT (プレジデント) 2013年 3/18号 [雑誌]/プレジデント社

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破綻企業から高収益企業へと再生したJAL。
稲盛氏に真っ赤な顔で怒られ、「利他の心」目覚めた役員が変わり、そして、組織が変わった!
ここには、企業運営、部下育成のヒントがたくさん隠されていると思います。
ビル・ゲイツ共々、小心者だからこそ、いろいろな状況に直面したときを想定して、その前に問題の種を潰したら成功した、ということもとても納得できます。
長文になりましたが、皆様にお伝えしたくて、ご紹介させていただきました。
るんるん♪語録/3月4日
褒めるも叱るも同じ心。相手の成長を願うからこその優しさと厳しさ。
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