身から出た素描 -34ページ目
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身から出た素描
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漬け
何かに浸かると、目線が近くなっていろいろと窮屈ですね。
漬かっちゃって変な匂いまでしてくるようになったりしてさ。
近かったら半歩離れたらいいだけ。そしたらちょうどいいかもしれないな。
窮屈で窮屈で、逃げたいと思うとさらに窮屈にもなってさ。
眠いな。
⑧日曜日
そしてまた日曜日がきた。
何のかわりもない、誰のためでもない日曜日。
晴れていたかも忘れてしまった。
⑦土曜日
雑居ビルの非常階段を登り、屋上の手前の踊り場で男は朝を迎えた。
途中で飽きて帰ることもなく、じっと踊り場で考えこんでいた。
飛ぶ勇気がでない。
全く飛べる気がしない。
しかし帰ったら終わりなのだ。結局何もしない人生を認めるのはその男には辛いことであった。
1週間の企画ではっきりしてしまった、自分のつまらない人生と自分という人格。
朝日が見えはじめると、転がるように1日が始まっていく。
眼下の街に人が湧き出て、日常に気持ちが薄れてしまいそうだ。
男は、自分の人生が何も成し遂げられなかったわけではないということを、自分自身に証明するために、自分の足で空に身を投げた。
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