この間、「大学の内定、みんなどんどん決まっているらしいよ!」という話をいろいろなところで聞きました。
報道でも、今年春に卒業予定の大学生の就職内定率が85%と、この時期としては過去最高になった、とのこと。
6年連続の改善で、調査を始めた1996年以降、最も高くなりました、とのこと。厚労省は「景気の回復で企業の採用意欲が増しているのではないか」と分析している、との報道。パチパチ。
ところで、サラリーマンの平均給与は、ここ20年、1997年の467万円をピークに、基本的に下がってきています。
また、非正規雇用もどんどん拡大しており、2000万人、労働者の4割に迫ろうとしています。
ということは、どういうことでしょうか?
内定は、賃金の低下した企業に、正規もしくは非正規として雇用される、ということになるということです。
大卒者の85%が、平均賃金が減額した企業に、かつ、非正規労働者枠が拡大する中、内定が決まっていく、ということです。かつ、凄まじい勢いで値上がりしてきた大学の学費を50%以上の学生が奨学金ローン(有利子)で背負いながら・・・。
1975年の眼から見たら、ビックリ!でしょうね。自分たちの頃の、3倍から15倍の学費を借金としてしょい込みながら、下がり続ける賃金と先行き見えない期限付き雇用に就職する世界・・・それが「2017年の内定者85%」の世界ということでしょう。
いまどきの大学生は大変です。そして、大学生の親も。国立大学でいえば、1975年の10倍から15倍にあたる授業料を借金ないしは親が負担しているわけです。給与が同じく10倍以上にでもなっていればともかく、むしろ、給与は下がり続けているわけで・・・。
しかも、どんどん、非正規は拡大している。つまり、企業は企業として儲かろうと人件費は減らし、雇用の責任は回避する方向に進んでいるわけです。世界中、その傾向でしょう。
企業が儲かれば給与もあがる、なんてトリクルダウンなんて、ウソ。
大学の内定率最高!なんて厚労省のリークも、そういう情報操作でしょう。しかし、新聞やネットの情報で流れる程度の情報でも複数組み合わせれば、その現実は、簡単にわかりますよね?
奴隷は失業者ではありません。失業者がいなくなって、使い捨ての賃金奴隷(借金付き)が増えても、いい世の中とはいえないでしょう。