「辞めたいけど辞めさせてもらえない」「辞めるなら損害賠償を請求すると言われた」「辞めさせてくれたけど、最期の給与からいろいろ引かれた」などなどのバイト関連の相談が重なりました。いずれも若い人たちの相談です。
私も大学時代は、主に道路工事などの工事現場の警備員のバイトをやっていました。朝8時から5時、か、夜8時から5時のどちらか、でした。12月29日の夕方、会社から電話がかかってきて「今晩、五本木の現場に行ってくれないか」とかありました(文句言いながら行きました)。
・・・とはいえ、これは1980年代初頭の「バブル」直前期の大学生、右肩上がりの経済下の話であり、今思えば、その関係性は「牧歌的」です(その後、現場での働きがよかったのか、その会社から独立した新会社の社長から「引き抜き」の話も頂きました)。
今は、非正規職が労働者全体の40%に至る時代です。そして、大学の学費は、1971年には国立大学なんて、12,000円/年(1000円/月!)だったのに、2014年には国立文系で535,800円/年、私立文系で746,123円/年、です。
大学生の半分は、ローン(奨学金)を組んで、つまり借金を背負って大学に通っているので、返済のためにバイトをせざるを得ません。「お小遣い稼ぎ」とは、もはや本質的に違うようです。
一方、中小企業側も必死です。安くて、使い勝手のいい労働者であれば、学生だろうと、外国人だろうと、誰でも構わない、だけど、社会保険の負担や正社員としての責任まで負えない、だって大企業だって、大学の「先生」だって非正規ばっかりでしょ、というところに追い詰められています。
その結果、よく働いてくれて、でたらめな条件でも、使い勝手いい「奴隷」には勝手に辞めてもらったら困る、のです。そして、バイトしている側の学生ないし若い人も辞めるにやめられない経済状態にある、それにしても、こんな条件で?というところでしょう。
世界、つまりフランスや韓国、そしてある意味、イギリスやアメリカで今年起こった民衆の「反乱」は、この労働のあり方があまりにもやってらんねえ!という憤りがきっかけだったと思います。
労働法という雇用主と労働者を規律する、基本的には、労働者を守る、というスタンスに立つ法律ですが、これがどんどん世界中で「改悪」されていってます。
新自由主義の「自由」とは、資本の自由であり、資本が改めて自由に私たちから搾取しよう、という発想です。労働法だって、資本主義体制下での「とりあえずの」労働者保護法だったのに、それすら、邪魔だ、というのが今の世界の潮流です。
追い詰められているのは、99%側であり、零細企業も労働者も同じでしょうが、やってらんねえ!と思ったら、ともかく逆らえ、俺は奴隷じゃねえ!って異議を唱える、これが、このブラックバイト、さらにはブラックワールドから飛び出す、唯一の方法かもしれません。