弁護士の業務拡大路線・・・滞納給食費回収業へ | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 学校給食費の滞納が増加している大阪市で、市教育委員会が11月から回収業務の一部を弁護士に委託するとのこと。支払い能力があるのに再三の催告に応じない「悪質な保護者」が回収の対象。大阪市の滞納総額は昨年度末時点で小中学校合わせ1億円超に上り、滞納額は全国の中で多いとみられる。教育現場の負担軽減とともに、法律の専門家に託すことで「逃げ得」を許さない強い姿勢を示す、とのこと(産経10/24)。

 

 司法改革=弁護士激増政策が開始されたころ、盛んに日弁連執行部や推進派からは「弁護士の数は足りていない、いくらでも仕事がある、地方公共団体を含め、さらに仕事を開発し拡大することができる」と言われていました。

 

 ・・・その「業務拡大」の一つの「成果」が、この滞納給食費回収業務への「躍進」ということでしょう。

 

 文部科学省の調査(24年度)によると、全国の公立小中での未納額の割合は給食費全体の0・5%、滞納者については、生活保護受給世帯には給食費全額が支給され、経済的に困窮している家庭に対しては2分の1(小学生は全額)を支給する制度があるため、市教委は「支払う能力があるにもかかわらず、意図的に滞納している家庭が多い」とみている、とのこと。

 

 支払う能力があるにもかかわらず、意図的に滞納している家庭が多い・・・本当にそうなんでしょうか?余裕シャクシャクに、ただただ給食費を「払わない」だけ?

 そんなことないでしょう。子どもの給食費を払えないほど「貧窮化」が進んだと認めるべきでしょう。

 

 貧窮化が進む弁護士に仕事を回し(但し出来高制だそう)、貧窮化した家庭から給食費を回収する・・・新自由主義社会の分断と、そして支配の構造でしょう。

 

 「だけど給食費は払わなければならないでしょう?」「給食費も債権だ。債権を請求するのは弁護士の業務だ」「誰かがやらなければならない仕事では?」などといった意見もありそうです。

 

 この歪みきった世界・・・こんな仕事をしたくて弁護士になった人はいないだろうし、給食費を心底払いたくない親もいないでしょう。

 

 私たちは、この異様に貧窮化が進み、格差は拡大する世界のあり方自体に異議を唱えましょう!目の前の事柄にだけ焦点を絞るのではなく、一つ一つに今の「常識」で反論できないとしても、「そりゃあんまりだ!」「それはないだろう!」という感覚を声にすべき時だと思います。こりゃ、あんまりだよ!