サッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)とツール・ド・フランス(Tour de France)に対応するため、とのこと。
本当にそれが延長の目的でしょうか?
報道は、極めて薄いですが、6月14日、花の都パリでは、数10万人規模のデモが行われています。フランス最大の労働組合フランス労働総同盟(CGT)は、6月のデモを3月から始まった一連の抗議行動最大の山場としてとらえているものの、CGTのフィリップ・マルティネス書記長は「これが終わりではない」として、今後もデモが続くことを示唆しているそう。まだまだ、ということですね。
労働時間の増加や従業員の解雇条件の緩和など企業寄りの政策が盛り込まれた労働法改正案は、労働者保護の基本を弱体化させるものだとして、CGTとフランス労働総同盟「労働者の力」は反対しています。このような政策はどの国の資本・政府も狙っているものです。日本も安倍首相は「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指してますからね。
フランスの緊急状態法1条の要件は「公の秩序に対する重大な脅威を生ぜしめる急迫した危険がある場合、又は、その種類及び重大性によって、公の災害の性格を現出する事件」ということで、昨年11月13日のパリの「同時テロ事件」を「非常事態」と宣言してこの法律は適用されたわけですが、これにより、何ができるか?
1、 内務大臣は「公の秩序と安全に対し危険な活動をしている人々」を自宅軟禁することができる権限を持り実際に執行。
2、 また、裁判所の令状なしに、昼夜問わずに家宅捜索したり、武器を押収したりすることも可能となり、これも執行。
3、 さらに公権力の行為を妨害しようとする者に対し、地域の全部または一部の滞在禁止を命じることもできる。命令のあった場所・時間における人や車の交通が禁止されたり、安全地帯が設定されたりすることで、移動の自由が制限される、コンサートホールなどの興業場、酒類の小売店、集会場の閉鎖命令や一定の集会の禁止が命じられる、とのことです。
4、 さらには執行はまだされていませんが「緊急状態法」では、新聞、出版、放送、映画の上映、演劇の上映の規制も認められている、とのこと(もっともストライキで新聞は出ていないようですけどね・・・)。
かなりの盛り上がりを見せているパリジャンたちによる労働法制反対の動き。画像を見る限り、かなりの内乱的状況にも見えます。機動隊の暴力も凄まじい・・・まさに権力と民衆の戦いの様相を呈しています。
「内乱の目標は現実の国家組織の破壊である。従ってこれは現実の国家にとって最も恐るべきものであり、極力これを弾圧する必要である。併し、行為者の動機は必ずしも濱斥すべきものではない。・・・彼等は動機が悪いから罰せられるのではなくただ破れたから罰せられるだけの話である。」(『刑法読本』)とは、戦前のある教授の内乱罪の解説ですが、つまりは、民衆が国家の政策等に不満を持ち、根本的に闘うとき、それを弾圧するのは「権力から見れば」当たり前であり、それだって勝ってしまえば・・・つまり革命的に勝利してしまえば・・・罰せられることはありえない、ということをあっけらかんと述べられています。
この「あっけらかん」さも理由として、滝川幸辰教授は、1933年、京都大学を文部省の命令で追われたわけです(滝川事件)が、これは、真実でしょう。
この今、パリで起きている事態も、権力から見れば、そりゃ「非常(緊急)事態」だろうな、と思います。
・・・ということで、このフランスの権力を脅かす権力にとっての「非常事態」をガンガン延長、延長して市民を弾圧しているわけで、その意図はあまりに見え見えですね。
で・・・恐ろしいのは、「我が」自民党の緊急条項案には、期限の制限はありません。一度、宣言すれは、フランスのように、いちいち法律を作って更新の手続きは不要です。ここから、改憲しようとしている安倍政権。
この政権を放置することは、「私たちにとっての緊急事態」になります。打倒しましょう! フランスの労働者・民衆と連帯の意を込めて。

