妻から夫への慰謝料請求、そして、同じ妻から「夫の不貞相手」に対する慰謝料請求、これが別々の訴訟として提起され、別々の裁判官に判決が下されました。
結果、一つの判決では「不貞関係あり」と認定され、もう一つの判決では「不貞関係は認められない」との認定。
もちろん、同じ当事者間での一つの話。証拠関係もほぼ同一。
この手の争点で「不貞」の事実を示す決定的な証拠=録画ビデオなどがある場合はマレです。証拠としてありうるのは、①メール(のやりとりを何らかの方法で取得・保存したもの)、②ホテルの領収書、③調査会社の報告書及び写真、などの間接的なものがほとんどです。
事件の発端、としては、これらのうちのどれかが「発覚」することにより嫌疑の念が生じ、そこから始まります。もちろん、嫌疑をかけられた配偶者が認めれば終わり。認めない場合に、裁判となってしまうことがあるのです。
間接的な証拠を積み重ね、事実認定を行いますが、結局は人=裁判官の主観的な判断、ということになります。
証拠を出すタイミングというのも重要で、相手にある事実の認否を問い、追い詰め、否定させた上で、その事実に関する決定的証拠を突き付ける、という方法が功を奏する時もあります。
例えば、シティホテルなどの建物に入っただけでは「不貞」の認定とは距離があるわけですが、「*月*日にホテルにいただろう?」という問いに対し、相手方が「いや、そのホテルに行ったことはない」と答えさせておけば、ホテルに入る写真を突き付けることにより相手方の主張の信用性は突き崩せます。
早めに写真を出しちゃうと、「行ったことはあるけど、食事しただけ」なんて言い訳が「説明」されたりします。事実は一つなんでしょうが・・・
それにしても、同じ証拠なのに認定が裁判官によって違う・・・裁判官は事実認定の職業的プロ、それでも認定はまちまちになるのです。
それだけ、何かに基づき、何かを判断することの難しさが示されていると思います。