権力闘争としての税務問題 | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 いよいよ2015年から相続税の税制改正がなされ、基礎控除額は4割減、最高税率は上昇して55%となります。
   
      改正前 5000万円+1000万×法定相続人の数
      改正後 3000万円+600万×法定相続人の数

 つまり、庶民には関係のなかった相続税ですが、基本的に都心に物件を所有していると課税される可能性が高い、首都圏では4割が申告、14%が相続税を支払うと予測されています。

 もちろん、これは政府の税収アップが狙いであり、課税が増えて当たり前、ということです。もっとも、税金というのは皆にとって必要な経費の分担と考えれば払って当然、ということですが、必要以上に課税されることは、これまた当然に不必要ということではあります。

 それ故、親から相続したなどで「虎の子」の財産をお持ちの方々は様々な「対策」を講じることになると思います。預金や更地などを持っている場合は、それをアパート・マンションに換え、評価額を圧縮したり、法人所有を検討する等々・・。

 いずれにせよ、課税への対策自体は正当な権利行使ですし、本質的に国家の課税権との闘いという側面を持つ、その意味では刑事事件にも似たシビアな闘いなのです。

 昨年、私も「通知税理士」の資格を取り、顧問先(個人)の相続税の税務調査に立会いましたが、権力闘争としては、やはり、この分野も税理士とタッグを組んで弁護士が取り組むの有効だな、と思いました。
 権利の行使、自由の行使というのは、現実的には対権力的・対国家的な行為という現実があり、弁護士は、そのような権利行使=権力闘争の場面に「親しんで」いることが多いからです。少なくとも、国家権力、つまりは、警察官、検察官、裁判官、税務署職員らの不当・違法な越権的な行為を監視し、抑制するという機能は果たしやすいものと思います。

 権力闘争、と言っても、吠えたり、叫んだりするわけではありません。むしろ、冷静に法構造を分析・理解し、また、事案の事実と証拠状況をしっかりと踏まえる、という訴訟的思考と実践の徹底というところでしょうか。

 いたずらに迎合することもないし、また、無意味に歯向かうことでもありません。きちんと必要な権利を行使し、権力の逸脱を監視することに尽きます。

  そこを意識して行うかは、結構、重要です。