『緊急取調室』というテレビドラマがあります。まあ、主役が刑事(天海祐希さんは好きですが)なので、ありがちな刑事目線ドラマで、キャッチコピーも「あなたをマル裸にする」です。
「取り調べる側のチェック体制」という問題を指摘したいと思います。警察官、刑事、検察官らについてです。彼らが日常的に、どれほど乱暴で偏見に満ちた扱いを「被疑者」らに対し行うかということは「可視化」されません。可視化された場面では、そのような行為は行いません。カメラが回っていない場所と時間、つまり密室で行われるのです。『緊急取調室』が完全可視化されているとすれば(もこみちくんも好きですが)、それ以外の場所で罵詈雑言、脅し、誤導などを行うのです。
「あなたをマル裸にする」・・・・ですが、マル裸にされるべきは「取調官」側、ということになります。それが、可視化の趣旨でなければ何の意味もありません。
そもそも、逮捕それ自体、そして勾留=監禁それ自体も「暴力」です。国家権力が基本的に司法にお墨付き(令状)を与えることにより、合法的な暴力として許容されるのです。
そのような「暴力」下、つまり、監禁された密室状態において、その監禁のイニシアティブを持つ側が取り調べる、という行為自体、「拷問」の推定が認められる状態と言ってもいいと思います。
そして、取り調べ側の密室での「脅し」や「誤導」は、国家権力が自ら証拠化することはあり得ないので、その責任が自浄的に追及されることはありません。
戦前の治安維持法違反事件「横浜事件」においても、裁判所が拷問による自白に基づく有罪判決を下し、すぐさまその訴訟記録を違法にも関わらず責任が問われないよう焼却・隠滅してしまって再審の道を閉ざそうとしたのですが、その体質は今も全く変わっていません。
信頼出来ないから、捜査の全ての過程を可視化せよ、というのが「全面可視化」の理念ですが、これは民衆側の理念であり、国家権力はそんなことを行うつもりは微塵もないと思います。自ら握る「秘密」を増やしても、それを「公開」するつもりないのです。その辺を踏まえてテレビドラマ(でんでんも好きですが)を楽しみましょう。
