90年代前半から数年、カンボジアに数度、法曹養成支援活動を行いに訪問しました。プノンペンの大学で、クメール語に吹き替えた法廷劇を上映して、その後、ディスカッションをしたり、刑事訴訟法の中山研一先生の講義をセッティングしたりしました。法廷劇のビデオには、竹下景子さんにも被告人役で出演して頂き、私も証人役で出たりしました。
ポルポト派により、90年代の始めには、全土で裁判官は4名しか残っておらず、いわゆる法治国家とはいえない状況があり、法的インフラを整える、そのお手伝いをする、というのが目的でした。
難しいのは、そういう「善意」が、経済侵略の為のインフラ整備となってしまわないか、という点でした。UNTACが駐留している時点で、アメリカ(政府及び資本)やフランス(政府及び資本)は、スマートにその準備を開始していました。
実際、現在、カンボジア縫製業は、アディダス、ナイキとピューマなど主に米国とヨーロッパなどのアパレル企業に納品し、60万人労働者が従事しており、
そのほとんどが女性労働者だそうです。
そして、1月2日には、「ストライキ労働者と武装警察衝突 労働者4名死亡」という記事が報道されています。「カンボジアでは縫製工場労働者の数ヶ月にかけたストライキが打ち抜かれている。
昨年末からはカンボジア全土800ヶ所以上の縫製工場で約30万人の労働者が最低賃金の2倍の60ドルの引き上げを要求してストライキに起った。
ストライキはカンボジアを一時的にマヒさせるほどの威力で展開されている。」とのこと。
私の当時の印象では、カンボジアの人々は、両隣のタイやベトナムの人々より、おとなしい印象でした。その彼らが立ち上がっているというのは、それほどの事態なのだと思います。
私たちが目指すべきは「国際貢献」ではなく「国際連帯」、民衆・労働者としての国際連帯でしょう。もちろん、「法曹養成支援活動」がイコール侵略とは思いません。具体的に、誰に、どう伝えるか。そして、いざという時に共に共通の敵と闘うのか、それとも、「国家」の名の下に互いに闘わさせられるのか。ここが重要だと思います。 ストライキ支持!
