民事裁判、というと判決をもらう為の手続き、というのが一般のイメージだと思います。もちろん、その通りなのですが、実際には、裁判所に提訴後でも4割程度(事件の類型にもより交通事故などは7割程度)は、訴訟上の和解で解決しています。
つまり、裁判を起す、イコール、判決ということではない、ということです。
膨大な事件を抱える裁判官が、判決を書くより和解を勧める、という事情もあるようですが、事案によっては、判決だと100vs0にしかならない事案において、中間的な解決が可能という柔軟性もあったり、その意味で、判決のリスクを回避でき、その後のコストも節減出来るという当事者のメリットもあります。
判決となると、そもそも勝つか負けるかわかりません(リスク)。判決で勝っても、控訴され、時間も費用(コスト)もかかり、さらに控訴審、上告審で結論がひっくり返る可能性もあります(リスク)。また、判決で勝っても、現実に例えば金銭を回収するには別途、強制執行の手続きをとらなければならない場合もあり、執行しても回収できない場合もあります(コストとリスク)。
和解をして、双方納得すれば、これらのリスクとコストを回避出来る場合はあります。
ともかく、白黒つけるのが目的、という場合には、迷わず判決をもらうしかありませんが、ある程度、結論(判決)が読めている場合でもリスク・コスト回避のため和解を選択する場合はあります。
難しいのは、訴訟の最終段階で、裁判官が和解を勧めてくる場合。そして、判決が読めない場合です。
必死に、裁判官の心証を読み取ろうと努力します。この辺は、あらゆる交渉事と同じです。
判決をもらうべきか、和解を選択すべきか。そもそも、和解としては、どの線でなら可能か。相手方は応じるか、いや、もしくは、譲歩しすぎではないか。判決をもらった方がましではないか。等々を考慮して、当事者と相談します。
最終的には、もちろん、当事者の判断です。しかし、代理人弁護士としては、状況をしっかり、わかりやすく説明し、事態を共有し、共に決めることが必要です。
これは、本当に難しいです。裁判所は、どう考えているかを掴みたい・・・これから天気が良くなるのか、悪くなるのか・・。